映画『スロベニアの娼婦』（監督：ダムヤン・コゾレ）観賞。★★★★。 EUの発足により拡大したヨーロッパにおける搾取の構造と経済格差。「だったら自分の体を使ってでもそれを奪い返してやる」とばかりに、女子大生である主人公は娼婦としての仕事を始めるわけ…

2016年の映画ベスト10です。 01.『Don't Think Twice』（マイク・バービグリア） 02.『Barefoot』（アンドリュー・フレミング） 03.『Me Him Her』（マックス・ランディス） 04.『ブロンズ！ 私の銅メダル人生』（ブライアン・バックリー） 05.『ザ・ビート…

映画『最高の家族の見つけかた』（監督：ジョン・クラシンスキー 脚本：ジェームズ・C・ストラウス）観賞。★★★★★。 『男ゴコロはマンガ模様』に続くジェームズ・C・ストラウスの半自伝的三部作の第二弾。『男ゴコロはマンガ模様』はもちろんのこと、『さよな…

映画『Don't Think Twice』（監督：マイク・バービグリア）観賞。★★★★★。 ジャド・アパトーも絶賛した『Sleepwalk With Me』に続くマイク・バービグリアの新作は、またしても売れないコメディアンの悲哀を描いたドラメディ。タイトルはもちろんボブ・ディラ…

映画『歓びのトスカーナ』（監督：パオロ・ヴィルズィ）観賞。★★★★。 パオロ・ヴィルズィはイタリア社会の中核からはじき出された者たちを描き続けている映画作家なんだが、近年は『人間の値打ち』『はじめての大切なもの』のような「おすましモード」の作品…

映画『アンネの日記』（監督：ハンス・シュタインビヒラー）観賞＠ドイツ映画祭。★★。 負け戦に果敢に挑んで見事に敗退という印象。やはり『アンネの日記』の映像化はジョージ・スティーヴンス監督による1959年の映画版が元祖にして至高だろう（次点はフェリ…

映画『マスコット』（監督：クリストファー・ゲスト）観賞。★★★★。 CHRISTPHER GUSET IS BAAAACK! クリストファー・ゲストの10年ぶりの長編映画。彼の監督作は「映画についての映画」である『ケビン・ベーコンのハリウッドに挑戦！！ 』（ジェニファー・ジェ…

映画『絶地逃亡（英題：Skiptrace）』（監督：レニー・ハーリン）観賞。★★★★。 これは良いジャッキー映画。近年のジャッキー・チェン作品はまだまだ映画に不慣れな中国本土の観客を意識しすぎるあまりに、彼のサービス精神が悪い形で出てしまい、やたらと説…

映画『The Intervention』（監督：クレア・デュヴァル）観賞。★★★。 ジェニファー・ジェイソン・リーの初監督作『アニバーサリーの夜に』が『初体験／リッジモント・ハイ』組のリユニオンだったのと同様に、クレア・デュヴァルの長編初監督作となる本作は『G…

映画『Me Him Her』（監督：マックス・ランディス）観賞。★★★★★。 『クロニクル』や『エージェント・ウルトラ』の脚本家であるマックス・ランディスの長編初監督作。男2女1の青春ロマンティック・コメディという何千回も観てきたような題材なんだが、彼等が…

映画『Punk's Dead: SLC Punk 2』（監督：ジェームズ・メレンディノ）観賞。★★★。 ソニック・ユースのサーストン・ムーアも「歴代パンク・ロック映画ベスト10」の一本として挙げていた『SLC PUNK!!!』の18年ぶりの続編で、今回はヘロイン・ボブの息子がドワ…

映画『ブロンズ！ 私の銅メダル人生』（監督：ブライアン・バックリー）観賞。★★★★★。 またまたデュプラス兄弟の製作作品。かつての銅メダリストだが、足の故障により選手生命を断たれたホープ（メリッサ・ラウシュ）。過去の栄光にすがって生きている彼女が…

映画『思いやりのススメ』（監督：ロブ・バーネット）観賞。★★★★★。 ポール・ラッド演じる中年の新米介護士と筋ジストロフィーの青年の交流を描いた話、と言ってしまうと『最強のふたり』（もしくは『Me Before You』）のバッタもんのようにも思えてしまうが…

映画『All American High Revisited』（監督：キーヴァ・ローゼンフェルド）観賞。★★★★。 フィンランドからやってきた交換留学生の目を通してアメリカの高校生活を捉えたドキュメンタリー映画版『初体験／リッジモント・ハイ』こと『All American High』。19…

映画『ウソはホントの恋のはじまり』（監督：カット・コイロ）観賞。★★★★。 『Barefoot』『バレット・オブ・ラヴ』などと同様に、近年のエヴァン・レイチェル・ウッドのほとんど神がかっているチャームを堪能できる1本。『ウェディング・シンガー』期のドリ…

映画『Barefoot』（監督：アンドリュー・フレミング）観賞。★★★★★。 2006年のドイツ映画祭で上映されたティル・シュヴァイガーの監督・脚本・主演作品『裸足の女』のハリウッド版リメイク。「押しかけ女房コメディ」のバリエーションといえる内容だが、そも…

映画『Stonehearst Asylum』（監督：ブラッド・アンダーソン）観賞。★★★★。 ブラッド・アンダーソンのキャリアにおける最大のヒットとなった『ザ・コール 緊急通報指令室』に続く新作はエドガー・アラン・ポーの短編小説『タール博士とフェザー教授の療法』…

映画『Etz Limon（英題：Lemon Tree）』（監督：エラン・リクリス）観賞。★★★★。 パレスチナ人の未亡人が所有するレモン畑にイスラエル軍が侵入し、「国防上の理由から」フェンスを設置。彼女は自分のレモン畑に入ることができなくなって…という（『シリアの…

映画『ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ』（監督：トッド・ストラウス＝シュルソン）観賞。★★★★★。 今は亡き母親がチョイ役で出演していたスラッシャー映画を見ていた少女（とその友人達）が映画の世界に入り込んでしまうという、『キートンの探偵学入門…

映画『CBGB』（監督：ランドール・ミラー）観賞。★★。 アラン・リックマン追悼ということで、彼がCBGB創設者のヒリー・クリスタルを演じた本作が日本公開されたりはしないのかな？ まあ、映画としては酷いもので、初登場時のパティ・スミスが（ブルース・ス…

映画『The Little Death』（監督：ジョシュ・ローソン）観賞。★★★★★。 『俺たちニュースキャスター 史上最低！？の視聴率バトルinニューヨーク』などに出演しているオーストラリア人男優の長編初監督作品。『ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにち…

映画『Prince Of Broadway』（監督：ショーン・ベイカー）観賞。★★★★。 ニューヨークのストリートで偽ブランド品を売りさばいているチンピラが、ひょんなことから1歳半の赤ん坊の面倒を見ることになるというシングル・ファーザーの子育て奮闘もの。『タンジ…

映画『イット・フォローズ』（監督：デヴィッド・ロバート・ミッチェル）観賞。★★★★。 デヴィッド・ロバート・ミッチェルの前作『アメリカン・スリープオーバー』はそこまで評価していないんだけど、その青春映画文法をホラーと組み合わせた本作は面白かった…

2015年の映画ベスト11です。 01.『パレードへようこそ』（マシュー・ウォーチャス） 02.『マイ・インターン』（ナンシー・マイヤーズ） 03.『プリデスティネーション』（スピエリッグ兄弟） 04.『パレード』（スルジャン・ドラゴエヴィッチ） 05.『McFarland…

映画『McFarland, USA』（監督：ニキ・カーロ）観賞。★★★★★。 アメリカの最貧地域であり、ヒスパニック系住民が多数を占めるマクファーランドの高校で全米一のクロスカントリー・チームを育て上げたコーチとその生徒達の物語。これはヒスパニック版『がんば…

映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』（監督：Ｆ・ゲイリー・グレイ）観賞。★★★★。 N.W.A.が名盤『Straight Outta Compton』を発表〜大ヒットさせるまでのサクセス・ストーリーは意外とアッサリ処理されていて、むしろN.W.A.が分裂してからの話の方が長か…

『ビル・マーレイ・クリスマス』（監督：ソフィア・コッポラ）観賞。★★★★。 まさかのソフィア・コッポラ最高傑作。まあ、「ソフィア・コッポラ歌謡祭60分スペシャル」以上でも以下でもない内容なんだが、いつものソフィア・コッポラ映画と違い、くだらねえ自…

映画『Amy』（監督：アシフ・カパディア）観賞。★★★★。 エイミー・ワインハウスのキャリアを追ったドキュメンタリー映画。何となく予想できたとはいえ、幸せな楽しい時間は最初の30分ほどで、残りの1時間半は皆が知る「悲劇」に向けてひたすら突き進んでいく…

映画『草原とボタン』（監督：ジョン・ロバーツ）観賞。★★★★★。 イヴ・ロベールの『わんぱく戦争』のリメイク。『わんぱく戦争』は当時の日本でもヒットした60年代を代表する児童映画の一つなんだが、本作はそのさらに上をいく傑作だった。ポイントは、舞台…

映画『バタード・バスタード・ベースボール』（監督：チャップマン・ウェイ＆マクレーン・ウェイ）観賞。★★★★★。 原題の『The Battered Bastards Of Baseball』は「野球界のズタボロの私生児達」の意。カート・ラッセルの父親のビング・ラッセルが70年代に設…