映画『Don't Think Twice』(監督:マイク・バービグリア)観賞。★★★★★。
ジャド・アパトーも絶賛した『Sleepwalk With Me』に続くマイク・バービグリアの新作は、またしても売れないコメディアンの悲哀を描いたドラメディ。タイトルはもちろんボブ・ディランの「くよくよするなよ(Don't Think Twice, It's All Right)」からの引用なんだが、「It's All Right」が省略されているのがポイントで、つまりは気軽に「It's All Right」と言えるほど楽観的にはなれない、もう若くもない連中が主人公なわけだ。さらに言うと、即興コメディにおいて「Don't Think(深く考えない)」というのは、ほんのわずかな瞬間に湧いてはこぼれ落ちていくインスピレーションを逃さない為の大原則でもある。『Sleepwalk With Me』では夢遊病を患って大怪我を負い、恋人とも破局した主人公が、「それでも生きていくしかない」という思いに至るところで終わったように、マイク・バービグリアは今その瞬間を必死に生きる人々を描き続ける。そして、「It's All Right」と言える余裕はないかもしれないけど、くよくよするのだけはやめようぜ、と。ジリアン・ジェイコブスの名演が『ジョージア』のような淡くて深い感動を与える大傑作。ベン・スティラーやレナ・ダナムもゲスト出演してマイク・バービグリアの才能をサポートしております。