映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』(監督:F・ゲイリー・グレイ)観賞。★★★★。
N.W.A.が名盤『Straight Outta Compton』を発表〜大ヒットさせるまでのサクセス・ストーリーは意外とアッサリ処理されていて、むしろN.W.A.が分裂してからの話の方が長かったのは驚き。で、分裂以降の話の方が「こんな生活がいつまでも続くわけがない」という側面まで含めて非常にギャングスタ・ラップ的ではあった。でもまあ、残酷な話でもあって、ギャングの世界を外から見ていたアイス・キューブとドクター・ドレーはさっさと次に進み、ギャングの世界しか知らなかったイージーEはエイズで若死にしていくという。だからこそ、冒頭での「ギャングになんか憧れてないで、ちゃんと勉強して真っ当に生きていくんだぞ」というギャングの説教がボディブローのように効いてくる。おいらがこの映画を観終わった直後に思い浮かべたのは、2パックが死の直前に残した名曲「Life Goes On」だった。
監督はアイス・キューブの脚本・主演作『friday』なども手掛けてきたF・ゲイリー・グレイ。本作がややアイス・キューブ寄りな内容(アイス・キューブ抜きで作られたN.W.A.唯一の全米1位獲得作『Niggaz4Life』についてはほぼ完全スルーされる)なのはそのせいもあるだろう。ちなみに、劇中でも描かれているイージーEの死亡直前に試みられたN.W.A.再結成セッションの残骸として残ったのがアイス・キューブとドレーの共演曲「Natural Born Killaz」。その後も2000年前後に再び再結成が試みられ、『friday』の続編『Next Friday』のサウンドトラックにはN.W.A.名義の新曲「Chin Check」が収録されていることも特筆しておく。