2019年7月6日(土)に渋谷ユーロライブにおいて、はみ出し者映画の特集イベント「サム・フリークス Vol.5」を開催します。上映作品は『まどろみの二コール』(日本初上映)と、『スポットライト 世紀のスクープ』でアカデミー賞作品賞を受賞したトム・マッカーシーの監督デビュー作『ステーション・エージェント』の2本立てです。前売チケットはPeatixで販売中です


「ダム・インク(Dumb Inc.)」名義での活動も。
バンドキャンプで「隣り合わせ」や「」といった曲などが試聴&フリーダウンロードできます。SoundCloudもあります。


★★★★★=すばらしい ★★★★=とてもおもしろい ★★★=おもしろい ★★=つまらない ★=どうしようもない

ちょっと前にブルース・マクドナルドの『地獄(原題:Hellions)』についての上記のようなツイートがツイッター上で拡散されてたけど、どうせ書いた奴も「100億点超え」とか言いつつ絶対に『地獄』を観ることはないだろうし、RTしてる奴等もブルース・マクドナルドの作品を観ることはないのだろうと思うと悲しくなってしまいましたよ(だって誰一人として「これってブルース・マクドナルドの『地獄』ですよ! 前にNetflixで配信されてましたよ!」と指摘する奴が出てこないんだから)。まさに集合無知なこの状況こそがこの世の地獄だろ。

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Weirdos』を手掛けた監督:ブルース・マクドナルド&脚本:ダニエル・マクアイヴァーのコンビの前作『Trigger』は中年女性ロッカー2人の友情と愛を描いた、『Hard Core Logo』シリーズのスピンオフ作品。主演のトレイシー・ライトが癌に蝕まれていく中で撮影された、まさに「魂の映画」である(トレイシー・ライトは本作の公開前に死亡)。おそらくは本作に関わった誰もが彼女の死を意識していたはずで、サラ・ポーリーカメオ出演を果たしているのもトレイシー・ライトに対する敬意から実現したものと思われる(現時点ではサラ・ポーリーにとっても本作が役者としての最後の出演作)。主題歌はスターズの「Changes」(ビキニ・キル「Rebel Girl」の使い方も素敵)。

 

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カナダの鬼才監督ブルース・マクドナルドの最新劇場公開作品である『Weirdos(変態たち)』は、1976年を舞台にゲイの少年が幼馴染の少女と共にカナダのシドニーを目指して旅をする話。オープニングでニルソンの「孤独のニューヨーク( I Guess The Lord Must Be In New York City)」を使って『真夜中のカーボーイ』へのオマージュを捧げるという捻り方がブルース・マクドナルドの鬼才たる所以だろう。

「孤独のニューヨーク」はニルソンが『真夜中のカーボーイ』の主題歌として書き下ろした楽曲だが、楽曲が完成するまでの仮曲として映画に当てられていたニルソンの「うわさの男(Everybody's Talkin')」の方を監督のジョン・シュレシンジャーが気に入り、結局「孤独のニューヨーク」は『真夜中のカーボーイ』の主題歌としては没になったのだった。「うわさの男」と「孤独のニューヨーク」のテンポや曲調がほとんど一緒なのは、「孤独のニューヨーク」が「うわさの男」からの差し替えを念頭に置いて作られた楽曲だから(この辺りの顛末については『ハリー・ニルソンの肖像』に詳しい)。

 

で、「うわさの男」ではなくて「孤独のニューヨーク」を使うという『Weirdos』の捻りの入れ方は、「アメリカン・ニューシネマ風だけど、そのまんまアメリカン・ニューシネマをやるわけではないよ」という目配せになっているわけだ。だから当時の映画のような悲劇的な結末を迎えることはないであろうという予測が立つので安心して観ることができる。

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大傑作『インスタント・ファミリー 本当の家族見つけました』の日本盤Blu-ray/DVDが6月19日にリリース! 5月は日本のNetflixでも『Dumplin'』の配信が始まるし、アメリカ映画の真骨頂というべき作品を2ヶ月連続で観れるのはヤバすぎる。もう観てるけど改めて楽しみ!