2020年5月23日(土)に渋谷ユーロライブにおいて、はみ出し者映画の特集イベント「サム・フリークス Vol.8」を開催します。ジョージ・エリオットの名作小説『サイラス・マーナー』を映画化したスティーヴ・マーティン脚本・主演の傑作『パパとマチルダ』と、プラスサイズの女の子が頑張ったり頑張らなかったりするカナダ版『オッス! トン子ちゃん』というべき青春映画の傑作『少女ジュリエット』の2本立てです。前売チケットはPeatixで販売中です


マフスのキム・シャタックの追悼記事をローリングストーン ジャパンに執筆しました


「ダム・インク(Dumb Inc.)」名義での活動も。
バンドキャンプで「隣り合わせ」や「」といった曲などが試聴&フリーダウンロードできます。SoundCloudもあります。


★★★★★=すばらしい ★★★★=とてもおもしろい ★★★=おもしろい ★★=つまらない ★=どうしようもない

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 悪ガキ・トミーの スタンプ・アドベンチャー(原題:Tommy Tricker And The Stamp Traveller)』は『シャレード』や『デカローグ』を超える究極の切手収集映画。切手になった少年が世界中を旅して中国の子供達と友情を結ぶというかなりファンタスティックなカナダのジュヴィナイル作品だった(いや、マジでこういう話なんだってば!)。タイトル・ロールにもなっている「悪ガキ・トミー」はあくまでも狂言回しで、そういう意味では『マリアンの友だち』なんかとも近い作りではあるんだよな。

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ちなみに音楽をケイト・マクギャリグルとその姉妹達が手掛けていることもあって、彼女の息子である当時14歳のルーファス・ウェインライトが劇中で自作曲「I'm Running」(ポップなロックンロール・ナンバー)をフルコーラスで歌っており、この作品でカナダ・アカデミー賞オリジナル歌曲賞を受賞している。超早熟。しかもエンディング曲はマーサ・ウェインライトが歌っていて、ウェインライト家のファミリー・ヒストリー的にも超重要な作品なのであった。

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Echo In The Canyon』はジェイコブ・ディランをナビゲーターに、1960年代のローレル・キャニオンにおけるフォーク・ロック・シーンの功績を追ったドキュメンタリー。本作を観ると、ビーチ・ボーイズバッファロー・スプリングフィールドすらをも差し置いて、(その後のギター・バンドへの影響力の大きさも含めて)バーズがやはり別格の存在であったことがよく分かる。いち音楽ファンの立場から彼等を讃えまくる故・トム・ペティの姿も印象的。まあ彼の音楽って、まさにこの時代のローレル・キャニオンの申し子って感じだったもんな。そして余計なことは語らずにギターを弾くだけで場をかっさらっていくニール・ヤングが最高。ローレル・キャニオンにはピーター・トークとミッキー・ドレンツも住んでいたので、モンキーズの話もちょこっと出てくる(そもそもピーター・トークとスティーヴン・スティルスは無名時代からの親友だ)。

あと、ジャック・ドゥミが『ロシュフォールの恋人たち』の次に撮った『モデル・ショップ』(『ローラ』の続編)が、当時のローレル・キャニオンを正確に捉えた非常に音楽的な映画であるということで高く評価されておりました。

ジーナ・スペクターやベックやキャット・パワーといった豪華面子が参加して当時の名曲をカヴァーしたサウンドトラックも素敵な内容っすよ。

モンキーズが『ジョニー・キャッシュ・ショー』に出演した時の模様。ジョニー・キャッシュがあの強面&ダンディ・ヴォイスで「恋の終列車」を歌いながらモンキーズを紹介、って面白すぎるでしょ。こういう場はカントリー・ミュージックの素養のあるマイク・ネスミスの独壇場で、名曲「Nine Times Blue」を披露。ミッキーとデイヴィは完全に道化に徹しております(ピーター・トークはすでに脱退後)。

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先日亡くなったアダム・シュレシンジャーが総合プロデューサーとして全体を仕切っていた近年のモンキーズのアルバムは、マイク・ネスミスが積極的に関わっていないこともあって個人的にはあまり乗りきれなかったんだが(マイク・ネスミスが一番好きなので)、モンキーズの最新ライヴ・アルバム『The Mike And Micky Show』はかなり良いぞ。デイヴィ・ジョーンズはもちろんのこと、ピーター・トークまで亡くなり、ついにマイクとミッキー・ドレンツの2人きりになってしまったこともあって、マイクが頑張りまくっていて彼のレパートリーが大フィーチャーされております。「Listen To The Band」や「Sunny Girlfriend」のような定番曲だけじゃなくて「St. Matthew」のようなレア曲まで聴けるとは!

「Listen To The Band」のメロディはマイク・ネスミスのソロ・ナンバー「Nine Times Blue」のそれを逆回転させたものであるって話は前にしましたね。実は超サイケデリックな作りであるという。

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Honey Boy』はシャイア・ラブーフPTSD心的外傷後ストレス障害)を患うきっかけとなった父親からのネグレクト体験を綴った半自伝的作品。シャイア・ラブーフ自身が父親役を演じていることからも分かるように、この映画自体が彼にとってのセラピーの一環なのだろう。とはいえ、シャイア・ラブーフですら「どんなに酷い親でも、親は親」という結論になってしまうのだから、人間はそういう感情から自由にならない限り根本的に子供に対する虐待を減らすことはできないのではないかと思ってしまうな。子供をネグレクトするような酷い親は「親」じゃないよ。

あと、ジャネール・モネイっぽい女優が出ているなあと思ったら、それはFKAツイッグスだったのでした。隠しきれないミュージシャンとしてのオーラ。ボブ・ディランによる主題歌「All I Really Want To Do」は言うまでもなく素晴らしいが、あの曲は映画の内容以前に最高に素晴らしいわけで。エレクトリック・ギター導入以前のディランの最高傑作はやっぱり『Another Side Of Bob Dylan』ですよねー。なんでこのアルバムがいいかというと、バーズがこのアルバムの収録曲をたくさんカヴァーしているからです。