コロナ禍以降に本格的に活動を再開したペンパルズは、前身バンドであるスターワゴン時代の楽曲を時折ライヴで披露するようになった。
バーズやビッグ・スターといったルーツに忠実なギター・ポップ・バンドだったスターワゴンが窮屈になってきて、ラフで自由な同時代(90年代後半)のオルタナティヴ・ロック・バンドと共振するようなペンパルズへと移行していった流れは非常に納得できるものだし、だからこそ00年代の彼等がポップ・パンク的なサウンドになっていったのも、(賛否両論はあれど)同時代のバンドと共振しつつスターワゴンから距離を置くというペンパルズ結成当初のコンセプトを継承したものではあったはずだ。
そんな彼等が改めてギター・ポップに向き合ったのが、この最新作『1973』だ。もちろん、そこはペンパルズのことなので、ビルト・トゥ・スピルの頭文字をタイトルにした「B/T/S」やヴェルヴェット・クラッシュのリック・メンクの名前をタイトルに織り込んだ「Mencky Hard」なんて楽曲がありつつ、ストーン・ローゼズの「I Am the Resurrection」をモロに下敷きにした「I Am The Punishment」や、チープ・トリック風な「Magic」、ドゥービー・ブラザーズの「China Grove」風な「Coast To Coast」なんて楽曲もあったりと、彼等のラフで自由な姿勢が存分に発揮されたアルバムにもなっていると思う。「人に歴史あり」な傑作!