映画『Felix et Meira』（監督：マキシム・ジロー）観賞。★★★★。 2015年度アカデミー外国語映画賞のカナダ代表作品。厳格なユダヤ教社会の中で生きてきた女性と、父親を亡くしたユダヤ人男性の物語。本作の大きなテーマは「抑圧からの解放」である。その象徴…

映画『Ashby』（監督：トニー・マクナマラ）観賞。★★★。 ベン・リーが主演を務めたオーストラリア版『バス男』こと『The Rage In Placid Lake』から12年ぶりとなるトニー・マクナマラの監督作。アメリカ進出を果たした本作でもモチーフは基本的に前作と同じ…

映画『カミーユ、恋はふたたび』（監督：ノエミ・ルボフスキー）観賞。★★★。 離婚を決意した中年女性がひょんなことから高校時代にタイムスリップしてしまい...というフランス映画版『ペギー・スーの結婚』。『ペギー・スーの結婚』と同じく、主人公は高校時…

映画『マイ・インターン』（監督：ナンシー・マイヤーズ）観賞。★★★★★。 さすがはナンシー・マイヤーズ！と言いたくなる、ハリウッド映画の洗練の極みというべき超ウェルメイドな一品。ナンシー・マイヤーズのフィルモグラフィー的には『ファミリー・ゲーム…

映画『パレード』（監督：スルジャン・ドラゴエヴィッチ）観賞。★★★★★。 パレードを守れ！ セルビアのゲイ・プライド・パレードを警護する為に、ユーゴスラビアの元軍人達が呼び集められるが…という『パレードへようこそ』 meets 『荒野の七人』な「ユーゴス…

映画『キングスマン』（監督：マシュー・ヴォーン）観賞。★★★★★。 キングスマンのリーダーがマイケル・ケインなので『ハリー・パーマー』シリーズへのオマージュを交えつつも、基本的にはリアル＆シリアス志向になっている近年の007シリーズに唾を吐きかける…

映画『ヴィンセントが教えてくれたこと』（監督：セオドア・メルフィ）観賞。★★★★。 とてもよく出来た人情コメディ。何だか気持ち良く泣かされてしまったが、よくよく考えてみるとヴィンセントって（たとえば『シュガーマン 奇跡に愛された男』のロドリゲス…

映画『あの日のように抱きしめて』（監督：クリスティアン・ペッツォルト）観賞。★★★。 1965年のハリウッド映画『死刑台への招待』（監督は『ナバロンの要塞』のJ・リー・トンプソン）と同一原作（『帰らざる肉体』）ながらも、二転三転する明快なエンターテ…

映画『男ゴコロはマンガ模様』（監督：ジェームズ・C・ストラウス）観賞。★★★。 『さよなら。いつかわかること』、『ハートボール』、そして本作と、「父と娘の物語」を描き続けるジェームズ・C・ストラウス。今回は『ハートボール』でのバスケットボール部…

映画『エレクトリック・チルドレン』（監督：レベッカ・トーマス）観賞。★★★。 「Hanging On The Telephone」を「神からの授かり物」として受け止めた15歳の少女（ジュリア・ガーナー）が、その声の主を探し求める物語。って、答えはザ・ナーヴスのジャック…

映画『Before We Go』（監督：クリス・エヴァンス）観賞。★★★★。 キャプテン・アメリカことクリス・エヴァンスの初監督作品はニューヨークを舞台にした「一夜もの」のラヴ・ストーリー。この人はルックス／体格からアクション映画に起用されがちだけど、本人…

映画『トップ・ファイブ』（監督：クリス・ロック）観賞。★★★★。 クリス・ロックの監督作を観ると、実は彼が物凄く洗練された映画趣味を持っていることが分かる。前作『セックス・アンド・ザ・バディ』はエリック・ロメール『愛の昼下がり』のリメイク、今回…

映画『しあわせはどこにある』（監督：ピーター・チェルソム）観賞。★★★★。 ・サイモン・ペッグ版『食べて、祈って、恋をして』。『食べて、祈って、恋をして』はつまらなかったけど、こちらはとても面白かった。だから「自分探し」や「幸せ探し」がダメなん…

映画『靴職人と魔法のミシン』（監督：トム・マッカーシー）観賞。★★★。 サンチャマの久しぶりの日本公開作は擬似家族映画の帝王ことトム・マッカーシーが監督＆脚本。とはいえ、今回は疑似家族映画ではないし、『俺のムスコ』のように新しい血を導入して「…

映画『チャッピー』（監督：二ール・ブロムカンプ）観賞。★★★★★。 服装のみならず、髪型やタトゥーなどで自らの肉体を直接的に上書きしていくことによってニンジャ＆ヨーランディというペルソナと自分自身を同化させていったダイ・アントワードの2人が、「身…

映画『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』（監督：スチュアート・マードック）観賞。★★。 ベル・アンド・セバスチャンのスチュアート・マードックの監督＆脚本によるインディー・ロック・ミュージカル。てっきり80〜90年代頃が舞台の話なのかと思ったら、スマホも…

映画『生きていてすみません！』（監督：リッカルド・ミラーニ）観賞＠イタリア映画祭。★★★★。 『お熱いのがお好き』や『Mr.レディMr.マダム』などの系譜に連なる「偽装コメディ」だが、本作の場合は「（日本社会に通じる状況だと思われる）保守的なイタリア…

映画『パレードへようこそ』（監督：マシュー・ウォーチャス）観賞。★★★★★。 ケン・ローチもかつて『Which Side Are You On? 』で取り上げた、1984〜85年にかけて炭鉱ストを題材とした英国映画。ウェールズの炭鉱労働者達とのLGSM（レズビアンとゲイの人々に…

映画『ジュピター』（監督：ラナ・ウォシャウスキー＆アンディ・ウォシャウスキー）観賞。★★★。 『マトリックス』のバリエーションともいえる少女漫画風味のSFアクション・コメディ。「私はエイリアン（異端者）」という台詞から始まる作家性の強さにとにか…

映画『Girltrash: All Night Long』（監督：アレクサンダー・コンドラッケ 脚本：アンジェラ・ロビンソン）観賞。★★★★。 アンジェラ・ロビンソン（『恋のミニスカウエポン』『ハービー／機械じかけのキューピッド』）の最新脚本作は青春映画のエッセンスがギ…

映画『プリデスティネーション』（監督：スピエリッグ兄弟）観賞。★★★★★。 アイデア1発なロバート・A・ハインラインの短編SF小説を「女性映画」（と敢えて言いたい）として脚色しているのが素晴らしい。それでこそ、この21世紀に『輪廻の蛇』を映画化する意…

映画『はじまりのうた』（監督：ジョン・カーニー）観賞。★★★★★。 素人に毛が生えた程度のキーラ・ナイトレイの歌声がそれほど良いとは思えないという意見があるのは当然で、対比する存在としてわざわざマルーン5のアダム・レヴィーンを配しているところか…

映画『ビッチハグ』（監督：アンドレアス・エーマン）観賞。★★★。 本国スウェーデンの観客や批評家からも同様の指摘は散々されていたようだが、『ショー・ミー・ラヴ』の保守的な廉価版って感じ。そりゃあどちらもスウェーデンの田舎町で自分の居場所を見つ…

映画『REMTV-ドキュメンタリー-』（監督：アレクサンダー・ヤング）観賞。★★★★。 とてもR.E.M.らしいドキュメンタリーだと思った。彼等の歴史について、資料映像を交えながらひたすら当事者の言葉で語られるだけで、外部の人間が俯瞰した視点から彼等の音楽…

映画『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』（監督、脚本＆主演：タイカ・ワイティティ＆ジェマイン・クレメント）観賞。★★★★★。 以前にオフ会で特集した『Eagle vs Shark』のタイカ・ワイティティの新作。今回は『Eagle vs Shark』で主演を務めたフライト…

映画『ジミー、野を駆ける伝説』（監督：ケン・ローチ）観賞。★★★★。 かつて『ケン・ローチ (映画作家が自身を語る) 』で語られていたように、今回も「叩きのめされても、打ちひしがれてしまうことのない人々」についての映画だ。当初はケン・ローチの引退…

2014年の映画ベスト10。シアターNが残っていれば絶対に『Good Vibrations』は公開してくれたはずなんだけどねー（『Good Vibrations』の元ネタともいえる、北アイルランドのパンク・シーンを捉えたドキュメンタリー映画『シェルショック・ロック』を公開して…

映画『あと1センチの恋』（監督：クリスティアン・ディッター）観賞。★★★★。 監督のクリスティアン・ディッターは『Vorstadtkrokodile』シリーズや『ビッケと神々の秘宝』などを手掛けたことで知られるドイツの児童映画シーンの重鎮。本作はリリー・コリン…

映画『In Your Eyes』（監督：ブリン・ヒル 脚本：ジョス・ウェドン）観賞。★★★★★。 『めぐり逢えたら』や『ワンダーランド駅で』などの系譜に連なる「主人公達が最後まで出会わないラヴ・ストーリー」を、「幻視」や「幻聴」といったジョス・ウェドンお得意…

映画『Obvious Child』（監督：ジリアン・ロベスピエール）観賞。★★★★★。 The Most Pro-Choice Movie Ever Made！ 『アバウト・ア・ボーイ』がマーカス（ニコラス・ホルト）という「少年について」の物語であったと同時に、ウィル（ヒュー・グラント）という…