映画『男ゴコロはマンガ模様』(監督:ジェームズ・C・ストラウス)観賞。★★★。
『さよなら。いつかわかること』、『ハートボール』、そして本作と、「父と娘の物語」を描き続けるジェームズ・C・ストラウス。今回は『ハートボール』でのバスケットボール部のコーチという主人公の役柄が、アート・スクールの講師として日銭を稼ぐ漫画家に変わっただけともいえる。ジェームズ・C・ストラウスは実際に娘を持つシングル・ファーザー、そして映画学校の講師としても働いているらしいので、より本人に近い半自伝的な内容になったということなのだろう。
とはいえ、アメリカ版『がんばっていきまっしょい』ともいえるウェルメイドな青春スポーツ映画でもあった『ハートボール』と比べると見劣りする点も多い。『ハートボール』では主人公の内面の変化がバスケットボール部の面々との関係性の変化、ひいては彼等の試合運びの変化へと反映され、映画のダイナミックな肉体性と結びついていたのに対して、本作では主人公の内面の変化が彼の描く漫画に反映されるだけなので物語の躍動感に欠けるのだ。
主演のジェマイン・クレメント(『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』)は文句無しにチャーミング。生徒と恋に落ちるのかと思いきや…といった危うさを上手く回避している部分はさすがといった感じ。ちなみに本作はジェームズ・C・ストラウスの半自伝的三部作の完結編で、彼が脚本家として参加しているジョン・クラシンスキーの監督作『The Hollars』はその第二部、第一部にあたる作品は現在執筆中とのこと。