★★★★
突き抜けてる!
昨年のビートリーな傑作『Is and Always Was』に続いてまたもや永ちゃんのアルバムとほぼ同時期に発表されることとなったダニエルたんの新作は、オランダのビーム・オーケストラとの共演盤。「True Love Will Find You In The End」や「Devil Town」といった過去の楽曲のリメイクと書き下ろしの新曲で構成された変則的な内容ではあるものの、近年の彼の好調っぷりを証明するかのような快作に仕上がっている。全編に渡ってストリングス&ホーン・セクションをフィーチャーしたサウンドは、故マーク・リンカスがプロデュースした『Fear Yourself』とは違って開放的な味わいで、ダニエルたんの歌声もタフネスに満ち溢れている。
おそらくは映画『悪魔とダニエル・ジョンストン』(ズーイー・デシャネルお気に入りの1本でもある)〜ローリーとの邂逅を経たことによって、ダニエルたんは自身の音楽的なルーツであるビートルズにさらに深く向き合うことができるようになったのではないだろうか。1983年の発表当時はそれほど重要なレパートリーとはいえなかった「The Beatles」を、2006年の『Lost And Found』に続いて再びリメイクしていることからも、近年のダニエルたんが改めてビートリーなモードに突入していることがことがうかがえる。そう考えると本作のサウンドはまるでサイケデリック期のビートルズのようにも聴こえてくるではないか。これはダニエル・ジョンストン版『Magical Mystery Tour』だ! 全12曲40分。