Redd Kross/Redd Kross
★★★★★
マージからイン・ザ・レッドへと移籍したレッド・クロスの5年ぶりとなる新作は『ザ・ビートルズ:Get Back』を観たことが大きなインスピレーションになっているそうで、内容はジャケットおよびタイトルからも分かるようにビートルズのホワイト・アルバムへのオマージュ作品。スパークスの「When Do I Get To Sing "My Way"」のカヴァーや、マフスのキム・シャタックが晩年に書き遺した「Jone Hoople」といった楽曲が収録されていた前作『Beyond The Door』は比較的コンパクトにまとまったパワー・ポップ作品だったが、本作ではハードで混沌とした(パワー・ポップだけに留まらない)レッド・クロスの真骨頂が存分に発揮された、LPでは2枚組の大作となった。本作と並行して彼等のキャリアを追った映画『Born Innocent: The Redd Kross Story』(リンダ・リンダズも出演!)が制作されていたことも相乗効果になったのではないかと思われる。アルバムを締め括るのは、『Born Innocent: The Redd Kross Story』の主題歌であり、彼等の1stアルバムと同じタイトルが名付けられた名曲「Born Innocent」! これによってバンドの円環歴史構造が完成。つまりはレッド・クロスの永劫回帰! 傑作。