Redd Kross/Beyond The Door
★★★★
ヘンリー・マンシーニの「The Party」のカヴァーで始まってスパークスの「When Do I Get To Sing "My Way"」のカヴァーで終わるアルバムというインフォメーションだけだと、近年リイシューされた『Teen Babes From Monsanto』を引き継ぐ企画作品と思われそうだが、それ以外はきちんとオリジナル・ナンバーが揃っているので安心してくれ。
とはいえ、彼等の最高傑作となった前作『Researching The Blues』は(ニーコ・ケースのドラム・ヒーローでもある)マフスのロイがキース・ムーンばりのドラムを叩いてザ・フーを彷彿させる溌剌としたギター・ロックが全面展開されていたのと比べると、本作ではメルヴィンズのデイル・クローヴァーがドラムを叩いている割には、随分と小じんまりしたパワー・ポップ・サウンドでまとまってしまっている印象。レッド・クロスのスティーヴン・マクドナルドは近年のメルヴィンズのメンバーでもあるから、お互いのスケジュールを合わせやすいという利便性を重視しての人選という可能性が大だな。
アンナ・ワロンカーとの共作曲(「There's No One Like You」)やキム・シャタックとの共作曲(「Jone Hoople」)もあるので、10月に相次いで発売されるザット・ドッグとマフスの新作に向けた前哨戦としても楽しめる。というか、個人的にはそっちの楽しみ方での満足度の方が高かったっす。