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ジェイソン・シュワルツマンのソロ・ユニットの2ndアルバム。役者としての仕事もあるのに、約2年という短めのインターバルで新作を発表してくれるとは嬉しい限り。
前作『Nighttiming』と比べるとオルタナティヴ・ロック色/インディー・ポップ色が薄まり、すごくビートリーなフォーク・ロック・アルバムになっているんだが、これはどう考えても盟友ズーイー・デシャネルのシー&ヒムに同調したとしか思えない。本当にこの2人は(恋人としての関係はとっくに終わっているにも関わらず)いまだに切っても切り離せない関係なのだなあ。シー&ヒムが『A Hard Day's Night』(のB面)〜『Beatles For Sale』辺りを彷彿とさせる初期ビートルズなサウンドであるのに対して、ココナッツ・レコーズは『White Album』を彷彿させる後期ビートルズなサウンドになっているのが2人の個性の違いといえよう。
まあ、「ビートルズを彷彿させる〜」みたいな謳い文句のアーティストって普通ならば甘さ一辺倒になりがちなんだが、ジェイソン・シュワルツマンはファントム・プラネットの元ドラマーだけあって(ビートルズがそうであったように)リズムが強いので、あくまでもタイトなサウンドに仕上がっているのが素晴らしい。映画『ウォーク・ハード ロックへの階段』でリンゴ・スター役を演じていたのはダテじゃないぜ。おそらくはジェイソン本人が弾いているであろうベース・ラインもやたらとポール・マッカートニーっぽくなっているんだよな。
相変わらず曲が短いのも嬉しくて、今作は全10曲28分。今の時代に30分を切るアルバムを出した勇気を讃えたいね。『Nighttiming』を余裕で超えた、早くも今年のベスト10入り確実な大傑作。ポール・マッカートニーの『Chaos And Creation In The Backyard』が好きな人は是非。「Wandering Around」でドノヴァンの「Wear Your Love Like Heaven」をパクっているのも楽しいぞ。必聴。
そういえば、前作の感想でおいらは「アルバム全体のガチャガチャとしたポップ・サウンドはモンキーズの最高傑作である『Headquarters』に近似」と書いたんだけど、もしかして今作のタイトルはモンキーズのデイヴィ・ジョーンズから採ったとか?(<それはない)。