Ringo Starr/Photograph: The Very Best of Ringo Starr
★★★★
リンゴ・スターは最強のロック・アイドルである。その証拠に、まずは音楽中心日記さんでも紹介されていた「It Don't Come Easy」のPVを観ていただこう。
Ringo Starr - It Don't Come Easy
ね、凄いでしょ? 何が凄いって、ジョンもポールもジョージもビートルズから脱却しようとしていた1971年に、一人だけ6年前の『HELP!4人はアイドル』と全く同じことをやっているんだから。天然というか何も考えていないというか…。だから、ジョン・レノンが『Ringo』の為に書き下ろした「俺って最高!(I'm The Greatest)」という皮肉な歌も、間違いなく字面どおりに受け止めているんだろうなあ。まあ、それこそがリンゴ・スターの魅力なのであって、だからこそ歌だって上手くないのに、多くのミュージシャンのサポートを得て40年以上に渡ってシンガーとして活動してこれたのだろう(もちろん、素晴らしいドラマーであるってことも大きいんだけどさ)。
アイドルの醍醐味はアルバムではなくて刹那的なシングルにこそあり!というわけで、レーベルの枠を超えて1970年から現在に至るまでのヒット曲を集めた本作こそがリンゴ・スターの決定盤。不満があるとすれば、「またかよ!」というポール・マッカートニー節が堪能できる「Six O'Clock」(のエクステンデッド・ヴァージョン)が未収録なことぐらいか。全20曲68分。新作オリジナル・アルバム『Liverpool 8』も来年早々にリリース予定ということで、これからも末永くロック・アイドルとして活動し続けていって欲しいものだ。