★★★
『(500)日のサマー』の日本公開に併せて「ビートリーなRさん」のアルバムが2枚発売されている。1枚目はもちろんレジーナ・スペクターの『Far』(大傑作!)の日本盤、そして2枚目がこのリンゴ・スターの新作だ!
『Vertical Man』を筆頭とする近年のリンゴの傑作/佳作群の立役者であったマーク・ハドソンとは前作『Liverpool 8』の製作途中に喧嘩別れしてしまったので、代わりにブルース・シュガーを共同プロデューサーに立てて録音されたのが本作だ。とはいってもブルース・シュガーはマーク・ハドソン組の生き残りなわけで、リンゴのドラミングを前面に押し出したビートリーなロック・サウンドを目指すという路線は基本的に同じ。ただし、マーク・ハドソンと違ってブルース・シュガーはソングライターではないので、今回は曲ごとに異なるソングライターを迎えてブルース・シュガーが全体をまとめるという方式をとっているため、製作体制としては往年の傑作『Ringo』に近いともいえる。
まあ、ソングライターとしてヴァン・ダイク・パークスとかジョー・ウォルシュを迎えるのはともかくとしても、リチャード・マークスとかグレン・バラードとかの起用は正直どうかと思うんだが、そこまで含めてリンゴは永遠のアイドル!ってことなんだろうな。そういう意味でもやはりポール・マッカートニーとのデュエットを聴かせる「Walk With You」こそが本作のハイライトだ。
それにしてもリンゴほどオートチューンの恩恵を受けている人はいないんじゃないかと改めて思ってしまったよ。音程修正しまくり! どんなに元気だからといってもリンゴも今年で70歳になるわけで、もともとそんなに歌が上手くないのに加えて、加齢によって喉が弱ってきてしまっているのだからこれは仕方ないか。全10曲36分。