★★★★
ジョーイ・ラモーンの1stソロ・アルバムである『Don't Worry About Me』だって彼の死後に発売された「遺作」だったわけで、未発表デモ音源に手を加えた本作の出来なんてタカが知れている…と思っていたんだが、意外にもこれが凄く良い内容。ジョーイはおそらく2ndソロ・アルバムを意識して新曲を作り続けていたのだろう。演奏の方もリッチー・ラモーンやジョーン・ジェット、チープ・トリックのバン・E・カルロスといった錚々たる面子がバックを固めていて、『Don't Worry About Me』以上の完成度といえるのではないだろうか。特筆すべきは、ブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンドのスティーヴ・ヴァン・ザントが参加していて、本作のライナーノーツまで執筆している点。そういえば、ブルース・スプリングスティーンの「Hungry Heart」はもともとラモーンズのために書かれた曲だったんだった*1。
不満があるとすれば、ジョー・クイアー/ベン・ウィーゼル/ジョーイ・ラモーンの共作曲であり、ジョーイの最高傑作の一つである「I Wanna Be Happy」が収録されなかった点だな(クイアーズ版は『Pleasant Screams』に収録)。「What Did I Do To Deserve You」がトラヴェリング・ウィルベリーズの「Handle With Care」にそっくりだったりして、彼がビートルズの遺伝子を受け継ぐシンガー・ソングライターであったことを改めて実感させてくれるのは凄く嬉しいっす。全15曲52分。
↑この曲が収録されている『Pleasant Screams』はクイアーズの最高傑作なんで、この曲が気に入ったらぜひ。オープニングの「Get A Life And Live It Loser」から怒涛の名曲揃い。
*1:ブルース・スプリングスティーン版も、かなりジョーイの歌い方を意識していると思う