Noah And The Whale/Heart Of Nowhere
★★★★★
前作『Last Night On Earth』収録の自伝的ナンバー「Give It All Back」に「ブルース・スプリングスティーンやザ・バンドに影響を受けて」という歌詞があったことからも分かるように、ノア&ザ・ホエールのシンガー兼ソングライターであるチャーリー・フィンクという人は(意外に思えるかもしれないが)スプリングスティーン・フォロワーの1人なのである*1。
というわけで、「Give It All Back」から引き継がれたかのような木琴の音色で幕を開ける本作は、前作での世界ツアーの経験を経ていっそう力強さを増したバンド・サウンドが全面展開される、これまで以上にブルース・スプリングスティーンからの影響が強く反映されたアルバムとなった。しかも「青春の終わり」が作品全体のメイン・テーマとして据えられていることもあって、まるで英国を舞台にした『The River』といった印象すら受ける。ノア&ザ・ホエール流のパワー・ポップ・ソングが満載の傑作!*2 アルバムに併せて制作された同名の短編映画(SF版『レベルポイント』)も楽しみ楽しみ。全10曲35分。
何度でも書いておくけど、「ノア&ザ・ホエール」というバンド名の由来はノア・バームバックの映画『イカとクジラ』から。「Give It All Back」や「5 Years Time」のPVはウェス・アンダーソンへの愛が込められまくった傑作なんでそこんとこよろしく。
*1:ここでもブルース・スプリングスティーンの「Racing In The Street」を褒め称えている。
*2:という風に書いていることからも分かるように、おいらは『The River』はブルース・スプリングスティーン流のパワー・ポップ・アルバムだと思っている。実際、この頃のスプリングスティーンはラズベリーズから多大な影響を受けていたらしいし。