映画『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』(監督:ジョナサン・レヴィン)観賞。★★★★★。
アメリカ大統領を目指す女性とそのスピーチライターの恋を描いた、『デーヴ』『アメリカン・プレジデント』などの系譜に連なるウェルメイドな政治ロマンティック・コメディの傑作。こうしたアメリカ映画お得意の作品の男女逆転版がついに制作されるに至ったというのは非常に感慨深い。誤解を恐れずに言ってしまえば、本作は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のさらに先を描いた作品なのであります。そして、エドワード・バーンズの『ノー・ルッキング・バック』以来となるブルース・スプリングスティーンの「I'm On Fire」使いで鳥肌が立つ傑作でもある。この曲を使うことになったのは、セス・ローゲンが「君はチャリティ・コンサートでブルース・スプリングスティーンとデュエットしてただろ? あれ以上最高の経験なんてあるわけがない」という台詞をアドリブで喋ったことが発端のようで、ブルース・スプリングスティーンの大ファンである監督のジョナサン・レヴィン*1がそこに乗っかって、わざわざブルース・スプリングスティーン宛てに熱のこもった手紙をしたためて楽曲の使用許可を求め、映画でフィーチャーされるに至ったとのこと(大切なことを書いておくと、「I'm On Fire」のPVを監督したのはジョン・セイルズなんすよね)。
あと、大統領を目指す女性がMDMAを使っても何の問題もないということをはっきりと描いているのも良かった。モリーぐらい誰でも食うだろ。
*1:そういえばジョナサン・レヴィンは『ウォーム・ボディーズ』でもスプリングスティーンの「Hungry Heart」を使用してましたね。