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スーパーグラスまでもが解散してしまい、ブリットポップ期の現役バンドとしてはほとんど唯一の生き残りとなってしまったブルートーンズの6thアルバム(他に残っているのはアッシュぐらいか。オーシャン・カラー・シーンはブリットポップ以前のバンドだしねえ)。前作『The Bluetones』からは4年振りとなるが、あまり待った気がしないのは、ティーンエイジ・ファンクラブ「Alcoholiday」の名カヴァーを含むマーク・モリスのソロ・アルバム『Memory Muscle』が2008年に発表されているからだろう。
2008年に1stアルバム『Expecting to Fly』の全曲演奏ツアーを開催した影響もあるのか、アコースティック・ギターのコード・カッティングを前面に押し出したナンバーが多く、前作以上にジャングリーなギター・ポップ色が強い。そしてオープニング曲の「The Notes Between The Notes Between The Notes」やアルバム予約者への限定配信ナンバー「I Like To Lie」(アルバム本編には未収録)などのように打ち込みをフィーチャーしたサイケデリックなナンバーもあり、凝ったサウンド作りは2000年の『Science And Nature』に近いといえよう。もちろん2003年の『Luxembourg』以降の骨太なギター・ロック・バンドとしての側面もしっかりと息づいており、ブルートーンズのこれまでの歴史の集大成ともいえるような内容、15年選手にしか作りえない瑞々しいポップ・アルバム(言葉が矛盾しているようだが、こうとしか言いようがないのだ)に仕上がっている。文句無しの傑作である。要するに、何事も諦めずに続けている奴は強いって話。アルバムからの第一弾シングルとなる「Carry Me Home」はほんとに名曲だなあ。全11曲43分。