Tim Rogers/The Luxury Of Hysteria
★★★★
テックス・パーキンスとの連名で発表された田舎ロック・アルバム『My Better Half』に続くソロ・アルバムとなる本作は、しっとりとしたストリングス&ホーンがフィーチャーされた英国ロック寄りのサウンドが印象的な、『Hourly Daily』の10年目の続編とでもいうべきシンガー・ソングライター・アルバム。
2005年の『Dirty Ron』に2006年の『Convicts』と、しばらくテンションの高いロックンロール・アルバムのリリースが続いていたのは、(ティム・ロジャースの最大の影響元でもある)中期リプレイスメンツ的なサウンドへと回帰することによって、自身の離婚による傷心を振り切ろうとしていたのではないだろうか。そして、以降はその揺り戻しがきているのだと思われる。要するに、キンクスの『はみ出し者達』みたいなもんだ。
ってことは、おそらくはユー・アム・アイ本体に戻っての作品となるであろう次作は『低予算』のようなダサいハード・ロック・アルバムになるのか!?(<それはない)。でも、ユー・アム・アイって枯れることも後ろ向きにもならずに順調なリリース・ペースで15年以上活動を続けているという、ほとんど驚異的な領域に達しているわけだから(最新作『Convicts』の瑞々しさといったら!)、それこそアリスタ時代のキンクスのように商業的にもう一花咲かせたっていいはずだよな。そして1998年のオアシス武道館公演の前座以来となる来日公演の実現を!
Tim Rogers - When Yer Sad