Christina Aguilera/Back To Basics
★★★★
クリスティーナ・アギレラの4年振りとなる新作は、アギレラ流ポピュラー・ミュージック論が展開された2枚組の意欲作。『Back To Basics』とは、現在のレコード文化の原点である1920年代〜40年代に立ち返るということ。奇しくも同時期に発表されたアウトキャストの『Idlewild』とほぼ同義の作品なのであった。
イギリスのミュージック・ホール寄りな『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』とも、ミンストレル・ショウ寄りな『Idlewild』とも違って、本作がティン・パン・アレー寄りな仕上がりになっているのは、ミッキー・マウス・クラブ出身のアイドルという彼女自身の出自を反映した結果なのだろう。
ディスク1ではメイン・プロデューサーとしてサンプリングの達人であるDJプレミアを召き、全ての新しい音楽が過去からの影響を受けていることを実証。どちらかといえばDJプレミアは90年代の人なので、ディスク2では00年代を代表する売れっ子ソングライターとなったリンダ・ペリーをメイン・プロデューサーとして召喚してバランスを取っている。
さすがに全22曲79分ではやや冗長な感は否めないものの、アメリカの音楽業界の頂点に君臨するアイドル歌手がこういうアルバムを作ってしまうというところに米国大衆文化の懐の深さを感じた。日本じゃせいぜい中島美嘉がニュー・オリンズかぶれになるぐらいだもんなあ。