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「Move Like Jagger」の衝撃といったらなかった。ピーター・ビヨーン・アンド・ジョンの口笛ソングを徹底的にビルドアップして、さらにはクリスティーナ・アギレラまで投入した全部乗せ状態の激ポップ・チューンで、有無を言わせないその説得力には心底圧倒されてしまった。ビートルズに対抗してモンキーズが作られたことや、MGMのミュージカル映画などからも分かるように、こういうやり方こそがアメリカのショウビズ界の伝統であり真骨頂なんだよな。マルーン5はカーラズ・フラワーズ時代の不遇な経験があったからか、こうした業界の巨大な力に逆らうのではなく、むしろ自分達の方から積極的に利用していってやろうという意志を様々な場面において強く感じる。柔能く剛を制す。
というわけで「Move Like Jagger」のヒットの勢いに乗って発表された本作では、なんとマックス・マーティンをエグゼクティヴ・プロデューサーとして召喚。マックス・マーティンといえばロビンの「Show Me Love」「Time Machine」、ピンクの「Raise Your Glass」、アヴ子の「What The Hell」といった名曲群を手掛けていただけに、おいらの期待も高まりまくっていたわけだが、それに十二分に応えてくれるだけの超ポップな内容に仕上がっていて大満足。ブラック・アイド・ピーズの『The E.N.D.』などと同様に、アメリカのポップ・ミュージック界のトータルパワーの凄さを再認識させてくれる傑作といえよう*1。個人的にはモロにアバな「Doin' Dirt」が来た時点で完全降伏って感じ。ウィズ・カリファもゲスト・ラッパーとして参加。