映画『Blinded By The Light』(監督:グリンダ・チャーダ)観賞。★★★★★。
なんてチャーミングな青春音楽映画! サッチャー政権下のイギリスを舞台に、パキスタン系の青年がブルース・スプリングスティーンの音楽と出会って人生が変わる話を描いた本作は、タイトルをスプリングスティーンのデビュー・アルバムの1曲目から採り、劇中で「Born To Run」をフルコーラスで流すぐらいにはガチな内容だぜ。
多幸感溢れるミュージカル風な演出がとにかく楽しいし、主人公のガールフレンド(ネル・ウィリアムズ)が社会運動に積極的だったりして活き活きと描かれていたり、意外とクラブ描写がリアルだったりするのも良い(グリンダ・チャーダは『ベッカムに恋して』でのクラブ描写も良かった)。
ただ、クライマックスにおける「演説」は、感動の押し付けになりがちな(特にアメリカ映画に多い)悪癖だと思っているのでやや退屈。とはいえ、アメリカ文化に憧れるパキンスタン系イギリス人を主人公した英国映画で、インド系イギリス人であるグリンダ・チャーダがこうしたアメリカ映画のお約束を行うという点に文化的な重層性を感じて興味深く観た。っていうかこの映画、実は『闇に吠える街』そして「The Promised Land」推しなんだよな。いやー、最高じゃないか。一緒に飲みに行こう!