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こんなポール・ウェスターバーグを待ってたぜ! ポール・ウェスターバーグとジュリアナ・ハットフィールドによるスペシャル・ユニットの1stアルバム。2人のコラボレーションは2002年の映画『I'm With Lucy』の挿入歌としてポール・ウェスターバーグがジュリアナ・ハットフィールドに「As Far As I Know」(名曲!)を書き下ろした時以来だが、けっきょく同作のサウンドトラックは発売されなかったので(映画の冒頭シーンには使用されている)、実質的には初お目見え。ただしファンにとっては積年の念願が叶った夢の共演作となった。
ジュリアナは4曲をポールと共作しているものの、シンガー/ソングライターとしてよりは、ギタリスト/アレンジャーとしての貢献の方が遥かに大(佐藤大)。10代の頃はポールにファンレターを送っていたほどの大ファンというだけあって、彼の魅力を熟知した仕事が光りまくり。特にニック・ホーンビィのお気に入り曲でもある名バラード「Born For Me」を、切なさを抱えたまま疾走するロックンロール・ナンバーとしてリメイクしたのは彼女の存在があったからこそ、だろう。ポールにとってリプレイスメンツの再結成劇はなんだかんだいって非常にフラストレーションが溜まるものだったらしく、そこでの鬱憤を晴らすかのような活き活きとした姿を本作では全編で見せてくれる。リプレイスメンツ全盛期の傑作『Pleased To Meet Me』を彷彿させる溌剌としたギター・ロック・アルバム! エレクトリック・ギターでザクザク刻まれるコード・ストロークを前面に押し出した2〜3分台のポップなロックンロールがポンポンと飛び出してくる小気味良さが素晴らしい。