★★★★
ジル・ソビュールの新作は、彼女が貰ったブレスレットに付いていた飾り/お守り(charm)にまつわる物語を想像&創造して綴ったコンセプト・アルバム。本作で特筆すべきは歌詞を様々な作家や詩人に外注して書いてもらっているという点だ。日本でも有名なのは映画『アイス・ストーム』の原作者であるリック・ムーディ、『銃、ときどき音楽』『孤独の要塞』のジョナサン・レセム辺りかな。個人的にはライオット・ガール・ムーヴメントの研究書『Girls To The Front: The True Story Of The Riot Grrrl Revolution』の著者であるサラ・マーカスが参加しているのが嬉しかったっす。とはいえ、言うまでもなくジル・ソビュール自身が歌詞の達人でもあるわけで、彼女のそれが全くないという寂しさはある。前作『A Day At The Pass』もXのジョン・ドーとの共同名義だったし、変則的な作品が続いているのは2009年の『California Years』が集大成的な傑作であったことも大きく関係しているのだと思う。気負いがなくなって自由になっているというべきか。ビートリーかつフォーキーなサウンドは今回も相変わらず素晴らしいです。作曲面ではマイク・ヴァイオラ、元セミソニックのダン・ウィルソン、そしてジャズ・ピアニストのフレッド・ハーシュとの共作あり(マイク・ヴァイオラはプロデューサーも兼任)。あと、アートワークも素晴らしいので、大変なのは分かるけどきちんとCDでもリリース/ディストリビュートしてくださいってば。いちおうジル・ソビュールの公式ショップでは売ってるけど日本には発送してくれないしなー。