映画『4.3.2.1』(監督:ノエル・クラーク&マーク・デイヴィス)観賞。★★★★。
『アタック・ザ・ブロック』にも多大な影響を与えた『Kidulthood』〜『Adulthood』で英国青春映画の旗手となったノエル・クラーク*1。前2作の成功を踏まえて、おそらくは本作で世界進出を図ったのだろう。ハリウッド女優のエマ・ロバーツをメインキャストの1人として起用し、前2作を覆っていた(英国の現実社会から地続きの)閉塞感を取り払った結果、初期ガイ・リッチー風というかダグ・リーマンの『go』を彷彿とさせる軽快な娯楽活劇に。10年遅いという批判はあるかもしれないが、これはこれで面白い。
それにしても、エマ・ロバーツはデビュー・アルバムにおいてジル・ソビュールの楽曲を4曲も取り上げていた時点で只者ではないんじゃないかと思っていたけど、(『スクリーム4』の下敷きにもなった)サバービア映画の傑作『Lymelife』辺りからは完全に女優として覚醒した感があって、マジで一時期のズーイー・デシャネルに匹敵する打率の高さになっている。で、ズーイーがそうであったように、どれもがエマ・ロバーツ本人にアテ書きされたような役で、それが各作品の魅力にそれぞれ直結しているのが素晴らしいんだな。とりあえず『Lymelife』『The Winning Season』『It's Kind of a Funny Story』の傑作3部作と本作ぐらいはDVDスルーで構わないから日本でもきちんとリリースしておこうぜー。
↑『Kidulthood』はストリーツの「Stay Positive」を正しく使っているという点でも忘れがたい傑作青春群像劇。『Kidulthood』の登場人物の6年後を描いた『Adulthood』は泣き要素の薄い『息もできない』みたいで、これもハンパない傑作なんだけど日本ではほとんど紹介されてないのが残念。
↑ジル・ソビュール『Pink Pearl』収録曲のカヴァー!
*1:『アタック・ザ・ブロック』で主人公達が公団住宅の階段を駆け降りるシーンは明らかに『Kidulthood』のそれを下敷きにしている。