★★★
ライアン・アダムスと結婚(&来日)したことも話題になったマンディ・ムーアの新作は、元キャンディ・ブッチャーズのマイク・ヴァイオラをプロデューサー/ソングライターに迎えたズーイー・デシャネル路線とでもいうべきフォーキーな内容。
もちろん、彼女は付け焼刃でこういうことをやっているわけではなくて、XTCの「Senses Working Overtime」などを取り上げた2003年のカヴァー・アルバム『Coverage』をきっかけとして(良い意味で)おかしな方向に進んでいたので、本作の方向性は非常に納得のできるものなのだ。ただ、自身が書きためていたオリジナル曲の発表が前提条件となっていたズーイー・デシャネル(シー&ヒム)に比べると、プロデューサー及びソングライター陣への依存が大きく、相変わらず『Coverage』以前のザ・芸能界的な臭みから脱却しきれていない部分も多いのが好き嫌いの別れるところか(おいらは苦手)。妙にそつのない歌いっぷりとかさ。
まあ、イナラ・ジョージと3曲も共作していたり、トレイシー・ボーナムをゲストに迎えたりするセンスに間違いはないので、今後も21世紀のリンダ・ロンシュタットを目指して邁進してほしいところ。全11曲35分。先行シングルにもなった「I Could Break Your Heart Any Day Of The Week」は文句なしに名曲だ。