Pete Yorn & Scarlett Johansson/Break Up
★★
「“女優スカーレット・ヨハンソン×米SSWのピート・ヨーン”によるコラボ・アルバムがリリース」ってニュースを聞いた時には思わず笑っちまったぜ。ハリウッド女優が玄人筋で評価の高い男性シンガー・ソングライターと音楽ユニットを結成、ってズーイー・デシャネル/シー&ヒムの柳の下のどじょうを露骨に狙いすぎだよ!
いちおうクレジット上ではピート・ヨーンの名前が先になってはいるものの、スカーレット・ヨハンソンの所属元であるライノから発売されていることからも明らかなように、大コケした『Anywhere I Lay My Head』(2008年を代表するゴミアルバム)の赤字を補填するために、3年前に録音が完了していたという本作の音源を慌てて引っ張り出してきたというのが事の真相だと思われる。なにしろ、ピート・ヨーンのソロ・アルバム『Back & Fourth』はこの6月に発売になったばかりだし、本作自体も全9曲28分と、フル・アルバムとしてもミニ・アルバムとしても中途半端すぎる尺なのだから。
まあ、さすがにピート・ヨーンのおかげで『Anywhere I Lay My Head』より遥かにまともな内容になっているのは確か。日本では『Anywhere I Lay My Head』をぬるーく褒めて赤っ恥をかいた白痴ライターが多いので、そういう輩が挽回を狙って本作をここぞとばかりに褒めてきそうな気がする。でもさ、そんなことをする前に、まずはきちんとシー&ヒムを評価しろっての!
あと、このアルバムの存在意義について根本的なツッコミを入れてしまうと、そもそもスカーレット・ヨハンソンいらなくね?っていうか邪魔じゃね? クリス・ベルのカヴァー「I Am The Cosmos」を除くと、収録曲は全てピート・ヨーンのペンによるものだし、大半の楽曲のメイン・ヴォーカルはピート・ヨーンで、スカーレット・ヨハンソンは時折耳障りなコーラスを「ボエー」と入れてくるだけなのだから。いずれにしても、こういう路線のアルバムを発売するんだったら、ズーイー・デシャネルのようにきっちり自分で曲を書いてくるか、マンディ・ムーアのように徹底的に勉強してくるか、どちらかにしろと言いたいね。