★★★
シー&ヒムのコロムビア移籍第二弾アルバム。前作『Classics』に続きまたもやカヴァー・アルバム、しかもクリスマス・アルバム自体もすでに2011年に『A Very She & Him Christmas』を発表していることを考えると、好意的な見方をすれば結婚〜出産を経たズーイー・デシャネルの音楽活動本格復帰へ向けた試運転、意地悪な見方をすれば契約消化の為の一枚に思えないこともない。というわけでほとんど期待せずに聴いたんだが、オープニングを飾る「All I Want for Christmas Is You」での(『A Very She & Him Christmans』での簡素なサウンドとは対照的な)豊潤なウォール・オブ・サウンドで「全て許す!」という気持ちになってしまった。そもそも、こういう安易なカヴァー・アルバムはオールディーズの定番企画だったのだから、リスナーがオールディーズ・モードにどっぷりと浸れる内容になっているのであれば、そんなに悪い気もしないってなもんだ。マライア・キャリーのカヴァーで始まってチップマンクスのカヴァーで終わるというノベルティ寄りな選曲になっているのもアルバム・タイトル通りのパーティー感があるし、個人的には『A Very She & Him Christmans』よりも好きかも。ズーイーがジェニー・ルイスの『Acid Tongue』に参加していたことに対する8年越しのお礼として、「Winter Wonderland」でズーイーとジェニー・ルイスによるデュエットが披露されているのも嬉しい。とはいえ、シー&ヒムはもともとズーイー・デシャネルの自作曲を発表する為の場だったわけだから、早く本分に戻って『Volume 4』に取り掛かってくれー。