★★★★★
アメリカに色目を使いすぎて英国民にそっぽを向かれたイライザ・ドゥーリトルの『In Your Hands』とは対照的に、ケイティBはあくまでも純英国的なダンス・ポップを作り続けている。それは本作の製作陣に(純英国路線でソロ・シンガーとしてのキャリアを確立した)ロビー・ウィリアムスのソングライティング・パートナーであるガイ・チェンバーズを迎えていることからも明らかだ。ケイティBがアークティック・モンキーズの「One For The Road」やワン・ダイレクションの「Story Of My Life」をカヴァーしているのは、本人がその辺りに自覚的な証拠だろう*1。前作『On A Mission』でミズ・ダイナマイトを復活させていたのも記憶に新しいところだ。
とはいえ、本作収録の「Aaliyah」はタイトルからも明らかなように思いっきりアリーヤに対するオマージュ・ソングなんだけどな。イライザ・ドゥーリトルの現時点での最後のヒット曲である「Big When I Was Little」でも『マルコム in the Middle』への言及があったように、英国民的にはアメリカ文化でも「過去の遺産」に対する色目であればOKってことなんだろうか。アリーヤ死んでるし。死人に口なし。「Aaliyah」が無料配信された『Danger EP』で先行して発表されていたのは、ケイティBも英国民の顔色を窺っていた、ということなのかも。
「Play」が『ロイシン・マーフィー×カルヴィン・ハリス×キャシー・デニスという最強の3名によるコラボレーション・ナンバー「Off & On」を、ボーナス・トラックの「Blue Eyes」がモロコの「Cannot Contain This」を彷彿させるサウンドだったりするのもサイコ―。文句なしに2014年の英国ダンス・ポップ大賞候補作です!