『ウィ・アー・ザ・ベスト!』にもっとも近い映画は『ハード・デイズ・ナイト』と『ザ・コミットメンツ』。
『ウィ・アー・ザ・ベスト!』も『ハード・デイズ・ナイト』も『ザ・コミットメンツ』もバカで下品で稚拙な「懲りない奴等」の話で、決してつまらない「泣き」になんか走ったりしない。それは彼等が奏でている音楽の魅力とも完全に一致する。そして、それはロック/ポップ・ミュージックの魅力の本質であり、それは弱き者が日常を生き抜いていく為に必要なタフさでもあると思うのです。だから私はポップ・ミュージックを聴く。
というか『ハード・デイズ・ナイト』を最近観直したんすが、大波乱のライヴが終わったらしみじみとした余韻もなしにへらず口でエンディングになるところがまさに『ウィ・アー・ザ・ベスト!』そっくりだったっすよ(最後に主人公達が乗り物に乗って移動している点も同じ。つまり彼等は「これからも前に進み続ける」ということなのだ)。『ザ・コミットメンツ』もそうなんだけど、つまらない「泣き」がなくてライク・ア・ローリング・ストーンって感じでへらず口を叩き続けるってのはロック映画の重要なエッセンスっすな(『SLC PUNK!!!』も人が死んでるのにへらず口で終わるってのが素晴らしいんだよな。ただし『ザ・コミットメンツ』と『SLC PUNK!!!』は「青春の終わり」を描いた映画なので、『ウィ・アー・ザ・ベスト!』や『ハード・デイズ・ナイト』と違って物語の終わりに主人公はへらず口を叩くロック精神は持ち続けているものの、物理的には「止まっている」)。
↑コミットメンツのメンバーだったグレン・ハンサードは『ONCE ダブリンの街角で』に主演したことですっかり出世しちゃいましたなあ。