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オリジナル・アルバムとしては『Mr. Love & Justice』以来の5年ぶりのリリースとなるビリー・ブラッグの最新作。彼の代表作である『Talking With The Taxman About Poetry』(86年)や『Don't Try This At Home』(91年)の全英8位に次ぐ全英13位という高いチャート・アクションを記録しているが、これはケイト・ナッシュとの交流や、ジェイミーT、ジ・エナミー、フランク・ターナー&ブライアン・ファロン(ガスライト・アンセム)などの錚々たる面子が(それぞれ別個に)「A New England」をカヴァーしたことによって、「英国のブルース・スプリングスティーン」というべきビリー・ブラッグの重要性に注目が集まり、フレッシュな存在として改めて受け入れられたということなのだと思う。そういえば映画『ママ男』でもビリーの楽曲は大フィーチャーされていたのだった。
サウンド的には、ほとんどザ・バンドのような領域にまで到達してしまった前作『Mr. Love & Justice』の路線を引き継ぎつつも、ややアコースティック寄りな仕上がりで、ウィルコとの共作アルバム『Mermaid Avenue』(ウディ・ガスリーが遺した未発表の詩に曲をつけた作品集)を彷彿させる雰囲気もある。実際、ウディ・ガスリーのカヴァー「I Ain't Got No Home」も収録されているしね。名曲「Waiting For The Great Leap Forward」と同じテーマを扱った「No One Knows Nothing Anymore」なんてナンバーもあるし、文句なしに彼の集大成といえる傑作でしょ! 全12曲42分。