★★★
アイタン・マースキーが現代のパワーポップ・シーンにおけるニック・ロウだとするならば、カート・ベイカーは現代のパワーポップ・シーンにおけるエルヴィス・コステロだ。とにかく歌声がマジでそっくり! 『ビートルズの遺伝子ディスク・ガイド』にも書いたように、彼が所属していたレフトオーヴァーズの4thアルバム『Eager To Please』はマフスのキム・シャタックも参加したポップ・パンク経由の傑作パワーポップ・アルバムなのでマジで要チェックですぜ。そんなレフトオーヴァーズも2010年に解散、その直後からソロ活動を開始していた彼が、遂に1stアルバムを発表(2011年の『Rockin' For A Living』を1stソロ・アルバムとして扱っている人もいるけど、あの作品の尺は全6曲16分なんだからEPとして扱うべきだろう)。
これまでのEPなどで小出しにされてきた楽曲からも予想できたように、レフトオーヴァーズ時代のような溌剌とした魅力は減退、お行儀の良いパワーポップ・アルバムとして仕上げられており、エルヴィス・コステロでいえば『Armed Forces』に近い印象。とはいえ、元クイアーズのジェフ・ユースレスや元スクリーチング・ウィーゼルのアダム・カーギンといったポップ・パンク人脈がしっかり参加しているのは嬉しいっすね(そもそもカート・ベイカー自身がクイアーズの初代ヴォーカリストであるウィンピー率いるウィンピー&ザ・メダリオンズのメンバーでもあるわけだし)。70年代末の「パワー・ポップ隠れ名盤」みたいなジャケットは文句なしに最高!全10曲32分。
↑ニック・ロウ「Cruel To Be Kind」のカヴァー(『Got It Covered』に収録)もイイネ!
↑「Cruel To Be Kind」といえば、この日本語カヴァーを挙げておくのは義務ということで。
↑「Cruel To Be Kind」といえば、映画『恋のからさわぎ』でフィーチャーされたレターズ・トゥ・クレオによるカヴァーも最高!