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マシュー・スウィートを共同プロデューサーとして迎えたバングルスの最新作『Sweetheart Of The Sun』はちっとも良いと思えなかったんだが、ミッチェル・フルームがプロデュースした本作は文句無しの傑作。というか、バングルスも含めたスザンナ・ホフスの全キャリアの中でも最高傑作なんじゃないだろうか。
『Sweetheart Of The Sun』がバングルスの中にあるアメリカン・ポップス/アメリカン・ロックのエッセンスを強く押し出したアルバムだったとするならば、エルヴィス・コステロの「Veronica」風なメロディが印象的な「November Sun」*1で始まり、ポール・マッカートニーの「Golden Earth Girl」風なメロディの「True」で幕を閉じる本作はスザンナ・ホフスの中にあるブリティッシュ・ポップのエッセンスを強く押し出したアルバムといえるかもしれない。超ビートリー。そういう意味ではライトニング・シーズの「All I Want」をカヴァーしていた96年のソロ・アルバム『Susanna Hoffs』の正統な続編と位置付けることもできよう。加齢臭漂うモッサリしたサウンドだった『Sweetheart Of The Sun』よりも遥かに軽やかでリラックスしたサウンドに仕上がっているのがとにかく嬉しいし*2、全10曲30分と短いのもいいネ! 必聴。
*1:ちなみに、この曲でドラムを叩いているのはエルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ/ジ・インポスターズのピート・トーマス。そういえばバングルスの再結成第一弾アルバムのタイトル曲はエルヴィス・コステロのカヴァーなんだった。
*2:要所要所で的確なストリングス/ホーン・アレンジをキメてくる辺りもさすがのミッチェル・フルーム仕事。これでおいらの中に根強くある「マシュー・スウィートは過大評価」説がさらに確固たるものになってきた感があるな。