Matthew Sweet & Susanna Hoffs /Under The Covers Vol. 3
★★★★★
スザンナ・ホフスとマシュー・スウィートによるカヴァー集もついに3作目。2006年に発表された第1作が60年代編、2009年に発表された第2作が70年代編と来たので、今回はもちろん80年代編。80年代は彼等がレコーディング・アーティストとしての活動を開始した時期でもあるので、選曲も念入りに行われたのだろう、今回がシリーズ中でもっともイルで異ノーマルかつ分かってらっしゃる内容。とりあえず以下の曲目を見てくださいよ。
1.Sitting Still (R.E.M.)
2.Girls Talk (Dave Edmunds)
3.Big Brown Eyes (The dB's)
4.Kid (Pretenders)
5.Free Fallin’ (Tom Petty)
6.Save It For Later (The English Beat)
7.They Don’t Know (Kirsty MacColl)
8.The Bulrushes (The Bongos)
9.Our Lips Are Sealed (The Go-Go’s)
10.How Soon Is Now (The Smiths)
11.More Than This (Roxy Music)
12.Towers of London (XTC)
13.Killing Moon (Echo and the Bunnymen)
14.Trouble (Lindsey Buckingham)
Bonus Tracks on iTunes Deluxe Version
15.I Would Die 4 U (Prince)
16.You’re My Favorite Waste of Time (Marshall Crenshaw)
17.Train In Vain (The Clash)
まるで『ビートルズの遺伝子ディスク・ガイド』を読んでいるかのような選曲じゃないっすか!ボーナス・トラックも含めると同書で紹介されているアーティストは17曲中8組。これが最上級のビートリー・ヴォイスを持つ2人によって歌われるのだから堪りません。
「80年代を象徴するギター・ロック・アーティストは彼等だった」と言わんばかりにR.E.M.の「Sitting Still」がオープニングに置かれていたり、昨年『Desperate Character』が再発されたカースティ・マッコールの「They Don't Know」(トレイシー・ウルマンのヴァージョンのPVにはポール・マッカートニーが出演しているって話はこの前しましたね)を取り上げていたり、電気グルーヴの2人も愛聴していたボンゴスの「The Bulrushes」を取り上げていたり、かつてバングルスに「Manic Monday」を提供してもらったことへの恩返しであるかのようにプリンスの「I Would Die 4 U」を取り上げていたりと、イチイチ気が利いていて素晴らしい。
デイヴ・エドマンズの「Girl Talk」とクラッシュの「Train In Vain」に関しては「あれは79年の発表だぜ!」と、『London Calling』がローリングストーン誌の「80年代のベスト・アルバム」に選ばれた時のジョー・ストラマーのようなツッコミを入れたくなるが、まあその辺はご愛嬌ということで*1、。というわけで、当ブログ的には満点以外は付けようがないアルバムなのであります。
*1:本当はカースティ・マッコールの「They Don't Know」も79年の発表だけど、トレイシー・ウルマンのヴァージョンがヒットしたのは83年。「Girl Talk」はエルヴィス・コステロのヴァージョンが発売されたのが80年。「Train In Vain」はアメリカ発売が80年というわけで、この辺りの区切りに厳密性を求めるのは難しいやね。