Ray Davies & The Crouch End Festival Chorus/The Kinks Choral Collection
★★
なんじゃこりゃ。キンクスの名作群に匹敵する傑作ソロ・アルバム『Working Man's Cafe』を出したと思ったら、その次が聖歌隊をバックにキンクスの名曲をディナー・ショーの歌手ばりにいい湯加減で歌い上げる、演歌歌手が出す『全曲集』のようなアルバムなんだから困ってしまう。まあ、レイのソロ・キャリアにおいては『Return To Waterloo』や『The Storyteller』のような企画盤的な位置付けになるんだろうが、たとえばキンクスが『Preservation』シリーズにドップリ浸かっていった時のファンの困惑はこれに近いものだったんじゃないかと思ったりしたことだった。
唯一の救いは、『The Kinks Choral Collection』というアルバム・タイトルであるにもかかわらず、前作のタイトル・ナンバーである「Working Man's Cafe」が収録されているという点で、これはつまり前作から本作に至る流れが、A Thousand Treesさんが言われていたように「キンクス再始動の布石」であることの証左なのではないか、と。それが事実ならば嬉しいんだけどね。全15曲52分。