桑田佳祐が自身のラジオ番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』でみのミュージックを観ていると発言していたけど、そりゃあ桑田氏は「いとしのフィート」なんて曲を作るぐらいのリトル・フィート好きで、彼等の『Waiting For Columbus』が愛聴盤だったらしいから、同じくリトル・フィート好きである みの氏とは趣味が合って当然という気がする。『Waiting For Columbus』といえば、ユー・アム・アイの傑作『Deliverance』の裏ジャケでオマージュが捧げられていたのも印象深い。
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『タイムズ・スクエア』は東海岸パンクを題材にしたシスターフッド映画だけど、『ジョージア』は西海岸パンクを題材にしたシスターフッド映画なので、やはりサム・フリークスで改めて上映する意義があるのではないだろうか。たった一人でXへのオマージュを捧げまくったジェニファー・ジェイソン・リーはやはり偉大だ。Xは今年リリースされた27年ぶりの新作『Alphabetland』も最高だったしね。
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TVシリーズ版『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』の脚本家が自作自演で撮った中年版『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』が『40歳の解釈: ラダの場合(原題:The Forty-Year-Old Version)』だ。原題が『40歳の童貞男(原題:The 40 Year Old Virgin)』のパロディなのは、本作が40歳目前の売れない脚本家がラップを始めるという「言葉を操る人の物語」だから。
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アダム・サンドラーの新作『ヒュービーのハロウィーン』は、『ウォーターボーイ』や『リトル★ニッキー』などの初期作を彷彿させるマザコン・コメディ。そこに『マーダー・ミステリー』での成功を踏まえたミステリー要素も加えた快作で、アダム・サンドラー復調の兆しと言えるんじゃないかな。狼男も登場するハロウィーン映画ということで、ラジオ局のシーンでウォーレン・ジヴォンの「Warewolves Of London(ロンドンのオオカミ男)」をちょこっと流すというサービスも嬉しい(アダム・サンドラーはウォーレン・ジヴォンの追悼トリビュート・アルバム『Enjoy Every Sandwich: The Songs Of Warren Zevon』でこの曲をカヴァーしている)。
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大大大好きな『ミス・ファイヤークラッカー』の上映権が取得できるかもしれないので、そうしたらサム・フリークス Vol.12はオールタイム・ベスト映画『ジョージア』の再上映と組み合わせて最強の(言葉本来の意味での)シスターフッド映画2本立てで行きたいんですがどうでしょうか。どちらもホロ苦いけれども前を向こうとしている映画で、ずっと自分の心の支えになっている作品です。
『ミス・ファイヤクラッカー』 "Miss Firecracker" (1989) ★★★★★
トーマス・シュラム監督。ホリー・ハンター主演。メアリー・スティーンバージェン、ティム・ロビンス、スコット・グレンが共演する非常に地味な映画。私はとにかくこの映画がホリー・ハンターの最高傑作だと信じています。ものすごくチャーミングであるだけでなく、まったく関係はないが、『愛すれど心さびしく』とか『まぼろしの市街戦』のような淡くてなおかつ深い感動を与える名作。
お勧め映画、第3回、80年代アメリカ映画篇
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自分がキャロル・ケイのことを初めて知ったのは、メアリー・ルー・ロードが1998年に発表した『Got No Shadow』収録の「Throng Of Blowtown」で彼女について歌っていたから。だから高校生の時には知っていたことになる。ここでの「グルーヴを改善する必要があるから/キャロル・ケイを見つけなきゃ(We need the groove to improve / So go find Carol Kaye)」という歌詞からも分かるように、この当時からモータウンのヒット曲の多くで彼女がベースを弾いていたことはすでに公然の秘密となっていたんすよね。