X/Alphabetland
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LAパンクの雄、Xが27年振りの新作でついに帰還。しかも今回はビリー・ズームが参加したオリジナル・メンバー4人でのアルバムで、この編成だと1985年の『Ain't Love Grand!』以来となり、実に35年振り。Xに多大な影響を受けたマフスのキム・シャタックは昨年ALSで亡くなったが、Xのエクシーンも多発性硬化症と診断されて何年も苦しんでいたので(なんと誤診だったらしい)、こうやってきちんと新作が発表されて感激もひとしおですよ。
1stアルバム『Los Angeles』期の楽曲である「Delta 88」と「Cyrano De Berger's Back」のリメイクが収録されていることからも分かるように、初期のパンク・サウンドへの回帰が意図されている作品だが、ホーン・セクションなどの要所要所でのポップな味付けも相俟って、結果としては3rd『Under The Big Black Sun』や4th『More Fun In The New World』辺りの感触に近い内容。ちなみにキム・シャタックがお気に入りのXのアルバムも『Under The Big Black Sun』だったので彼女に聴いてもらいたかった。というか「Cyrano De Berger's Back」って『See How We Are』(ビリー・ズームの代わりにトニー・ギルキーソンがギタリストとして参加したオルタナティヴ・カントリー路線の名盤)でもリメイクしていたわけで、彼等にとってめちゃくちゃ大切な楽曲であることを思い知らされた。
Xのプロデューサーであったドアーズのレイ・マンザレクが2013年に亡くなっていることもあって、代わりにドアーズのギタリストであるロビー・クリーガーがゲスト参加。ビリー・ズームの剃刀ギターも冴えまくりだし、文句なしに傑作でしょう! 全11曲27分。
この機会にジェニファー・ジェイソン・リーがXにオマージュを捧げた映画『ジョージア』(私のオールタイム・ベストの1本)を改めて観直しておきたい。「サム・フリークス Vol.9」で『マイアミ・ブルース』を上映するし。