★★★★
Xのデビュー25周年を記念して発売されたライブDVD(リージョン・フリー)。昨年の11月に地元L.A.で行われたライブを収録している。メンバーは、最近の彼等のライブがそうであるように、ジョン・ドー、エクシーヌ・サーヴェンカ、D.J.ボーンブレイク、そしてビリー・ズームのオリジナル・メンバー4人。Xの映像作品としてはドキュメンタリー映画『X: The Unheard Music』(傑作)が有名だが、彼等のライブを丸ごと収録した映像作品はこれまで存在しなかっただけに、本作の発売は大事件と言える。良かったですな>ジェニファー・ジェイソン・リー。
いや、正直言ってこのDVDの重要性は認識しつつも、演奏自体にはそれほど期待していなかったのだよ。ビリー・ズームなんてもう57歳だしな。ところがところが、現役時と比較しても何ら遜色のない鋭い演奏を聴かせてくれるので驚いた。ビリー・ズームの剃刀のようなロカビリー・ギターも健在。当時と違うのはエクシーヌとビリー・ズームの体積が倍増した事ぐらいだ。全21曲67分とサクサク進行していくのも素晴らしい。余計なMCやアドリブなどはいらないのだ。まさにハードボイルド・パンク。
セットリストは『More Fun In The New World』までの初期の楽曲を中心としたもの。25周年という事で原点回帰という意味もあるのだろう。今年に入ってからニッターズの再結成盤やジョン・ドーの『Forever Hasn't Happened Yet』といったX絡みの快作が相次いで発売されているのも、この時のライブを記録する事によって自分達のルーツを確認出来たからじゃないかと思えてくる。
今後彼等がオリジナル・アルバムを出すかは分からないが、少なくともライブ・バンドとしての活動は永久に続けていくのだろう。本作を観て、おいらはそう確信した。L.A.でロックが鳴り続ける限り、Xはどこかのクラブで演奏を続けているはずだ。映画『メイヤー・オブ・サンセット・ストリップ』(2004年8月28日に感想文あり)で描かれていたように、XというバンドはL.A.のロックそのものなのだから。映像特典としてジョン・ドーとエクシーヌの弾き語りによる「See How We Are」「True Love」を収録。ヘンリー・ロリンズも推薦文を寄せてるよ。