特集上映:サム・フリークス Vol.12
4月26日追記:ゴールデンウィーク期間中の緊急事態宣言が発令されましたが、「サム・フリークス Vol.12」は会場のユーロライブと協議した結果、当初の予定通り5月8日に開催することに致しました。なお、座席を間引いての開催となり、ご入場は前売り券をご購入された方のみとします(当日券は販売しない予定です)。また、当日はロビー・場内でのマスク着用および消毒・手洗いなどの感染症予防対策にご協力お願いします。
特集上映イベント「サム・フリークス」の第12回! 今回の上映作品はホリー・ハンターの最高傑作『ミス・ファイヤークラッカー』と、ジェニファー・ジェイソン・リーの最高傑作『ジョージア』。つまりはシスターフッド映画の傑作2本立て!
どちらもこれを逃すとなかなか劇場では観ることができないであろう貴重な作品なので、この機会にぜひー。今回も有料入場者1名につき250円が虐待を受けたり貧困下にある子供達への学習支援&自立支援として役立てられます! ちなみに私が選ぶジェニファー・ジェイソン・リー出演作ベスト10は以下の通りです。
01.『ジョージア』(95年 監督:ウール・グロスバード)
02.『アニバーサリーの夜に』(01年 監督:ジェニファー・ジェイソン・リー&アラン・カミング)
03.『The Love Letter』(98年 監督:ダン・カーティス)
04.『ブルックリン最終出口』(89年 監督:ウーリー・エデル)
05.『カンザス・シティ』(96年 監督:ロバート・アルトマン)
06.『マイアミ・ブルース』(90年 監督:ジョージ・アーミテイジ)
07.『ユニークライフ』(*TVシリーズ 17年~21年 製作:ジェニファー・ジェイソン・リー)
08.『アノマリサ』(15年 監督:チャーリー・カウフマン&デューク・ジョンソン)
09.『ヘイトフル・エイト』(15年 監督:クエンティン・タランティーノ)
10.『初体験/リッジモント・ハイ』(82年 監督:エイミー・ヘッカリング)
6月6日(日)には同会場でイベントの第13弾が、8月7日(土)にはイベントの第14弾が開催されます! こちらもぜひ!
概要:
1)日時:2021年5月8日(土)
2)会場:ユーロライブ(渋谷)
タイムテーブル
12:50~ 当日券販売開始
13:00~ 開場
13:15~『ミス・ファイヤークラッカー』上映
14:58~ 休憩
15:10~『ジョージア』上映(17:07上映終了予定)
3)当日券料金:2本立て1500円(入れ替えなし・整理番号制)
※当日券は当日の12時50分より会場受付にて販売いたします。
※前売り券は特別価格1374(悲惨な死)円でPeatixにて販売中です。
本イベントはすべての子供達が社会から孤立することなく暮らしていけるようになることを目的とした学習支援や自立支援の為に、有料入場者1名につき250円を「認定NPO法人 3keys」へ寄付いたします。後日、当ブログにおいて寄付の実施をご報告いたします。
お金に困っている方は、ご相談いただければ当イベントに無料でご招待いたしますのでお気軽にご連絡ください。
また、未成年の方は当日会場にて500円返金します!性善説の自己申告制で、身分証チェックとかイチイチしないので、「無料にしてもらうのは気まずいけど、1374円払うのはキツい…」という方はこちらの制度をご利用していただければと思います。
お腹が空いている方は、事前にご連絡いただければ入場時におにぎりを差し上げます。食べられないおにぎりの具がある場合は、それも併記していただけると助かります。
こちらは当イベントの主催者に向けた救援物資を掲載したAmazonのほしい物リストになりますので、お金に余裕のある方はサポートしていただきたく思います。何卒よろしくお願い致します。
※前売り券について※
開場は13時00分です。整理券等への引き換えの必要はございませんので、劇場への入場時にPeatixのチケット画面、もしくは予め印刷したものを係員にご提示お願いします。入場順序に関しては、前売り券→当日券の整理番号順となります。場内は全席自由席となっております。入金後のキャンセルは承りかねますのでご了承ください。
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「サム・フリークス Vol.12」はシスターフッド映画の傑作2本立て!
『ミス・ファイヤークラッカー』はピューリッツァー賞受賞作家であるベス・ヘンリーの戯曲の映画化。幼い頃に孤児となり、叔母に育てられた女性がミシシッピーの田舎町で開催されるミスコン「ミス・ファイヤークラッカー・コンテスト」の優勝を目指す姿を描いた物語で、群像劇の様相も呈する人間ドラマとなっている。同コンテストの優勝者である従姉妹に憧れとコンプレックスを抱く主人公を演じたホリー・ハンターの名演が深い余韻を残す名作であり、たとえば『ダンプリン』などにも繋がっていくアメリカ映画の滋味が存分に堪能できる。ミスコンの後景として貧困が見え隠れしている点にも注目すべし。
「サム・フリークス」の指針ともなっている『ジョージア』は、2017年に開催した「真摯な痛み」シリーズの第1回以来となる待望の再上映。主演を務めているジェニファー・ジェイソン・リーが製作も手掛け、彼女の母親が脚本を執筆した本作は、ジェニファー・ジェイソン・リー自身の姉妹関係が反映された非常に個人的な内容の作品である。カントリー・シンガーとして成功を収めている姉と、落ちこぼれのロック・シンガーである妹の関係が描かれた秀逸な音楽映画で、彼女がそのキャリアを通じて(近年の代表作の『ユニークライフ』に至るまで)貫いてきた、孤独や痛みや悲しみに対して真摯に向き合う姿勢は全てここに集約されているといえるだろう。LAパンク・バンドのXへの愛も炸裂しまくっている大名作!
岡俊彦(東京都品川区南品川3-5-2-503在住)
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ミスコンは「セクシズムの温床」「白人至上主義者のためのもの」と揶揄される中で、近年、『ダンプリン』や『MISS ミス・フランスになりたい!』あるいは『Miss Juneteenth』『Misbehaviour』など、家父長制の規範に異議申し立てる映画が増えつつある。
ミスコン命な女性を描いた『ビューティフル』を監督したサリー・フィールドは、それが女性が奨学金を得るための手段であり、地方出身の貧しい家庭の子にとっては教育を受ける方法であると認める。ホリー・ハンター演じる赤髪のカーネルが義姉に憧れて地元のミスコンで優勝することを望む『ミス・ファイヤークラッカー』の裏側にもまた、貧困や恵まれなかった過去からの逃避の目的があるだろう。ミシシッピ州出身の劇作家ベス・ヘンリーは、『ロンリー・ハート』『ミス・ファイヤークラッカー』と米国南部を舞台に、家父長制の中で苦しみ、憂鬱な状況に生きる女性たちの物語を綴る。自尊心が低いカーネルは、ミスコン優勝者である義姉を理想と見なすが、その彼女は不幸な結婚生活から抜け出すことができない。「美しさ」で手に入れた幸福は彼女の人生を保証するものではないようである。
劇中、カーネルは米国国歌に合わせて星条旗を模した衣装でタップダンスを披露する。ヘンリーは、美醜の優劣やコンテストの勝敗に関心は示さない。7月4日=独立記念日をミスコン開催日に設定し、幼い頃から他者を参考に自己形成していた女性が「独立」する瞬間を描くのだ。
本イベントの原点であり、4年ぶりの再上映となる『ジョージア』もまた、姉妹間の葛藤を描いた映画である。主演のジェニファー・ジェイソン・リーはしばしば痛みを伴う物語に身を投じる。彼女が共同脚本を手がけた『グリーンバーグ』に「傷ついた者は他者を傷つける」というセリフがあるが、それはJJLが生み出したように思えてならない。彼女は、自己破壊的な行動を取ってしまったり、セルフィッシュで思いがけず人を傷つけてしまう役柄ばかりを演じてきたのではなかったか。故に、製作に携わる『ユニークライフ』で彼女は、「最高の世話人は世話されなかった人だそうよ。私にはぴったりの言葉ね」と発するのであり、その言葉は彼女だからこそ説得力を持って響くのである。
(映画ライター・常川拓也)
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『ミス・ファイヤークラッカー(原題:Miss Firecracker)』(1989年:監督:トーマス・シュラム)
Blu-ray上映(日本語字幕付き)
出演: ホリー・ハンター、メアリー・スティーンバージェン、ティム・ロビンス、アルフレ・ウッダード、スコット・グレン
『ジョージア(原題:Georgia)』(1995年、監督:ウール・グロスバード)
Blu-ray上映(日本語字幕付き)
1995年度アカデミー賞 助演女優賞ノミネート(メア・ウィニンガム)
出演:ジェニファー・ジェイソン・リー、メア・ウィニンガム、ジョン・C・ライリー
主催:岡俊彦
お問い合わせ先:岡俊彦(電話:080-4065-3412 メール:hardway@ba.mbn.or.jp)