自分がどうして『わが青春の輝き』を好きなのかと考えると、昨日引用した部分からも分かる通り、主人公のシビラ(≒マイルズ・フランクリン)のキャラクターがとにかく饒舌で面白いからだな。『アンネの日記』のアンネ・フランクに近い印象(ちなみに英語圏でもそういう批評がある。共に10代の少女が記した自叙伝であるところも相似)。
ジリアン・アームストロングによる映画版は原作をうまく換骨奪胎しており、ロベルト・シューマンの「子供の情景」をテーマ曲として使うことによって、(彼の妻でありピアニストであり作曲家でもあった)クララ・シューマンと主人公のシビラを重ね合わせたりと、フェミニスト映画として重層的な構造を作り出している。
ジリアン・アームストロングについては、5年前にAfterschool Cinema Clubさんのzineで第2作の『スターストラック/わたしがアイドル!』について書いて以来、個人的に再評価を推し進めようとしてきたからな。昨日今日の話じゃねえんだ。だから「サム・フリークス Vol.6」で『わが青春の輝き』を上映できるのは感慨深い。というか、『わが青春の輝き』の上映が好評だったら今度は『スターストラック』とルーカス・ムーディソンの『ウィ・アー・ザ・ベスト!』の2本立てを企画してもいいかも。1982年のロック映画の傑作と、1982年を舞台にしたロック映画の傑作!(っていう話も5年前に書いてた)。
『スターストラック』は主演のジョー・ケネディが歌った「Body And Soul」(スプリット・エンズ「She Got Body, She Got Soul」の改題カヴァー)が全豪シングル・チャートで5位まで上昇するヒットを記録したし、オセアニアのロック史的な観点からも重要な映画なんですよ。あと、おそらくソロ・デビュー前後のシンディ・ローパーにも多大な影響を与えている。