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オリジナル・アルバムとしては『A Maximum High』と並ぶバンド史上最高のチャート・アクション(全英8位)を記録したシェッド・セヴンの5thアルバム。彼等は2007年に再結成を果たしながらも、現在に至るまで再結成アルバムを発表せずに来たという(ジーザス&メリー・チェインと全く同じ)道筋を辿ってきたこともあって、ファンからしてみても待望のアルバムだったことは間違いない。そして、実際に届いたのはその期待を上回るほどの素晴らしい作品なのだった。
まあ内容が良いのは当然といえば当然。なにしろ現在の彼等は、オリジナル・メンバーであり再結成前のラスト・アルバム『Truth Be Told』期のギタリストだったジョー・ジョンソンと、バンドの全盛期を支えたギタリストのポール・バンクスが同時に在籍しているという最強の布陣なのだから。ザ・スミス+ローリング・ストーンズという基本的な音楽性は20年以上一貫しているものの、ジョー・ジョンソンが作曲を手掛けた「Dolphin」や再結成前のラスト・シングル「Why Can't I Be You?」といった過去の代表曲と、ポール・バンクスが手掛けた「Getting Better」「Going For Gold」といったナンバーを聴き比べてみると、前者はグルーヴ志向、後者はもっとストレートにハードなロックを志向していることが分かる。本作ではその調和がとにかくお見事。「Hang On」でストーンズの「悪魔を憐れむ歌」にオマージュを捧げているのはその証左といえるだろう(ポール・バンクスの色が強く出ると「Jumpin' Jack Flash」になってしまうわけで)。『One Hand Clapping』を超えた、文句無しに彼等の集大成といえる最高傑作。