The Jesus And Mary Chain/Damage And Joy
★★★★★
「(現在の)ジーザス&メリー・チェインの新作」としておいらが待ち望んでいたものはすべて得られたのだから、これは5つ星を付けるよりほか無いではないか。もともと、おいらは彼等のシューゲイザー的なサウンドの部分にはほとんど興味がなくて、ラモーンズ的な3コードのソングライティングこそが醍醐味だと思っていたので、本作での「ただのラウドでポップなギター・ロック」という素っ気ない佇まいには大満足。アルバムの収録曲を見ていくと、ジム・リードのソロ・ナンバーのリメイクが1曲(「Songs For A Secret」)、ジム・リードのソロ・プロジェクトであるフリーヒートの楽曲のリメイクが2曲(「Get On Home」「Facing Up To The Facts」)、リード兄弟の妹であるシスター・ヴァニラに提供した楽曲のリメイクが2曲(「The Two Of Us」「Can't Stop The Rock」)、さらには再結成直後の2008年に発表した楽曲「All Things Must Pass」のリメイクがあるので、実質的な新曲は全14曲中8曲。女性ヴォーカルとのデュエットが多いこともあって、(リード兄弟が全面プロデュースした)シスター・ヴァニラの『Little Pop Rock』の重要性が浮き彫りになってくる内容となっているのだった。というわけで、スカイ・フェレイラや(グラスゴー人脈である)イゾベル・キャンベルの参加も話題だが、そんなことよりもシスター・ヴァニラ改めリンダ・フォックスとのデュエット「Can't Stop The Rock」がアルバムのラストに置かれていることに感動してしまったよ。