Icona Pop/This Is... Icona Pop
★★★★★
t.A.T.u.の登場によってロシアに奪われてしまったルーカス・ムーディソンの映画『ショー・ミー・ラヴ』のコンセプトを、スウェーデンが再び取り戻したという点にアイコナ・ポップの大きな文化的意味がある。その証拠に「We Got The World」(名曲!)のPVでキャロライン・ヒェルトが車の後部座席から外の世界を見つめるショットは、ルーカス・ムーディソンのもう1つの代表作である『リリア 4-ever』のそれと全く同じだし。
それにしても、アヴィーチーの「Wake Me Up」もそうなんだけど、EDMのPVにロードムービー仕立てのものが多いのはどうしてなんだろうね。おいらからしてみると、EDMという音楽の刹那性が表象されている「逃避行」にしか見えないんだが、アイコナ・ポップの場合は「Girlfriend」でジェイZの「'03 Bonnie & Clyde」を経由して2パックの「Me And My Girlfriend」を引用するような人達なわけで、「私たちに明日はない!(『俺たちに明日はない』)」なロードムービー仕立てのPVが多くなるのは当然かつ必然でハマりまくっている*1。その刹那の輝きが切ない切ない。
彼女達の世界デビュー・アルバムとなる本作では、『Iconic Ep』で未収録だった前述の「We Got The World」がきちんと収録されているので大満足。楽曲のストックはたくさんあるのに全11曲33分とコンパクトにまとめてくれたのも嬉しいY!理想的なポップ・ソングが集まった文句なしの傑作でしょ。