★★★★
ジェイムズのシンガーであるティム・ブースの3rdソロ・アルバム(アンジェロ・バダラメンティとの共作である『Booth And The Bad Angel』を1stソロと考える)。もともと本作は彼がジェイムズ脱退して発表した『Bone』に続く作品として2005年から制作に入っていたのだが、その後のジェイムズ復帰劇もあって長い間お蔵入りになっていたのだった。まあジェイムズ復帰直後から「ソロ・アルバムも出すよ」とさかんに言っていただけに、ようやく公約を果たせて良かったですな。
ブックレットのクレジットのみだとジェイムズ復帰前の音源がどれほど使われているかを判断することはできないのだが、おそらくは『Bone』ツアーの経験も反映されているのだろう、打ち込み色の濃かった前作に対して、本作ではバンド・サウンドに回帰しているのが大きな特徴だ。ただし、ほとんどの楽器はティムの右腕であるリー・マディ・ベイカーが一人で演奏している「擬似バンド・サウンド」なので、ここで「本当のバンド」を希求していったことがジェイムズの復帰劇につながったように思える。それはつまり、ジェイムズの活動が順調な今となってはあまり存在意義のない作品になってしまっている、ということでもあるんだが。
もちろんティム・ブースのメロディ・メイカーとしてのセンスは相変わらず健在だし、彼がめずらしく単独で作詞作曲を担当した楽曲があったり(ティムは楽器が不得意なので、基本的には共作者が必須となるのだ)、インペリアル・ティーンの「Everything」とよく似たメロディを持つ「All About Time」なんてナンバーがあったりもするので(ヴェルヴェット・アンダーグラウンドつながり)、これはこれで楽しめる。全11曲45分。
↑『Booth And The Bad Ange』の冒頭を飾る「I Believe」は名曲!