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彼等の公式サイトで無料配布されていた『$O$』の新装盤。
何といってもやはり「Evil Boy」に尽きる。ディプロをプロデューサーに迎えた本格的な世界進出第一弾の楽曲のPVで、(南アフリカつながりで)『第9地区』へのオマージュも交えつつ、怒涛のチンコ尽くし。その徹底した悪意とすっとぼけたユーモア・センスには感動せずにはいられないってもんだ。
意外と捨て曲も多かったオリジナル版の『$o$』に比べると、ライヴでの定番曲を中心に全11曲58分(シークレット・トラックを含む)とタイトにまとめてきたところは非常にクレバー。サマーソニックでのライヴと同様に「In Your Face」〜「Enter The Ninja」で始まるのも嬉しい。彼等の代名詞にもなった「Enter The Ninja」の元ネタは(『ダンスダンスレボリューション』にも使われていた)スマイル.dkの「Butterfly」だし、「Fish Paste」ではマライア・キャリーの「Obsessed」を引用したりしていたりと、どの曲からも下世話かつ人懐っこいポップネスが感じられるのが素晴らしい。そして、それらと同時に(10月16日に無料上映会が開かれる)『リリア 4-ever』にも通じる切実さも感じてしまう。「Evil Boy」の歌詞なんてまさにそういう内容だし。やはりこれは2010年最高のゲットー・ミュージックだと思う。必聴。
彼等の公式サイトにてニンジャとヨーランディによる全曲解説が見れるのに加えて、bmrの2010年9月号では小林雅明氏が彼等の音楽的な立ち位置/独創性についての長文コラムを執筆されているので、それらも参照するよろし。