『ローラーガールズ・ダイアリー』の感想でクリック・ファイヴの映画『Taking 5』について書いていたらアイドル映画/バンド映画をもっと観たくなったので、「5」つながりでデイヴ・クラーク・ファイヴ主演の『5人の週末』を観ることにした。原題は『Catch Us If You Can』。なんとジョン・ブアマンの監督デビュー作である。
ちなみに邦題の『5人の週末』っての大きな間違いで、実際のところはデイヴ・クラークとバーバラ・フェリスの愛の逃避行を描いた『デイヴ・クラークの週末』なのだった。残りのバンド・メンバー4人はコメディ・リリーフとしてちょこっと登場するだけで、全体的にはエルヴィス・プレスリー映画のフォーマットから脱却しきれておらず、しかもデイヴ・クラーク・ファイヴの演奏シーンが1回もないとはどういうこっちゃい。「甘ったるいラヴ・ロマンスなんてやってられっかよ」と完全に陽性のコメディに振り切ったリチャード・レスターのビートルズ映画(『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』『ヘルプ! 4人はアイドル』)はいかに凄かったか/画期的であったかということに改めて気付されたのだった。
↑この予告だけなら『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』みたいで面白そうなんだけどねえ。
『スパイス・ザ・ムービー』(監督:ボブ・スピアーズ) ★★★★★
英国の5人組アイドル・グループの映画で最高なのはやっぱりこっちの方でしょう。当然ビートルズ映画を踏まえて完全にコメディに振り切った作りで、スパイス・ガールズの歌もたっぷりと楽しめるのが嬉しい。そもそも監督が『フォルティ・タワーズ』(シチュエーション・コメディというジャンルにおける最高峰の1つだと思う)を手掛けていたボブ・スピアーズなので、コメディ映画としてのツボは押さえまくり。ちなみにアラン・カミングがコメディ俳優として覚醒したのは、『エマ』を経て本作に出演したからこそ。だから『ロミー&ミッシェル』や『プッシーキャッツ』における彼の名演も、本作を抜きに語ることはできないのである。