Daniel Johnston/Is And Always Was
★★★★★
前作『Lost And Found』から約3年振りとなるソロ・アルバム、なんだけど、プレス・リリースには「6年振りの新作!」と記載されていることから、一部で言われていたように『Lost And Found』は『Rejected Unknown』と同時期に録音された音源ということだったのだろう。
本作のプロデューサーはなんとジェイソン・フォークナー! ポール・マッカートニーの『Chaos And Creation In The Backyard』にも参加している直接的にビートリーなミュージシャンだけあって、ダニエルたんとの相性が悪いわけがない(意外とありそでなかった組み合わせ)。果たして、本作はダニエル・ジョンストン史上もっともビートリーな作品、すなわち彼の最高傑作になることとなった。
なにしろオープニング・ナンバーのタイトルからして「Mind Games」…じゃなくて「Mind Movies」で、続いて繰り出されるのは「Flaming Pie」を彷彿とさせるロックンロール・ナンバー「Fake Records Of Rock And Roll」、さらに続くは「Hey Bulldog」や「Martha My Dear」にも通じる犬ソングの「Queenie the Doggie」とくるんだから、おいら的にはこれだけで全面的に肯定したい感じ。しかも、ラスト・ナンバーはブルース・スプリングスティーンのそれとは同名異曲の「Light Of The Day」(さすがは「Funeral Homeで「Cadillac Ranch」をパクっていたダニエルたんだけあるぜ!)とくるんだからツボは突かれまくり。
特筆すべきは、アルバム全体からかつてないほどに突き抜けた爽快感が漂ってくるという点で、おそらくは映画『悪魔とダニエル・ジョンストン』を経たことによって、ダニエルはローリーへの積年の想いに区切り/整理をつけることができたんじゃないだろうか。じゃなければ、こんな歌は書けないはずだ。
君がいなくても、地獄から抜け出してみせるさ
君がいなくても、うまくやってみせるさ
君がいなくても、たぶん大丈夫
(「Without You」)
まるでシー&ヒムの「Sweet Darlin'」のように感動的じゃないか!というわけで、個人的には『Volume One』と同じような感覚で愛聴することになりそう。そういえば、ズーイー・デシャネルも『悪魔とダニエル・ジョンストン』をお気に入りに挙げていたっけ。全11曲35分。