ピンク大賞に行くのは今年で7回目だけれど、作品の平均値は今回が1番高かった気がする。会場が変わった関係か、上映作品が5本から4本に減ったこともあって最後まで疲れずに見れたのも良かった。
『超いんらん やればやるほどいい気持ち』(監督:池島ゆたか) ★★★★☆
これは池島ゆたか版『8 1/2』であると同時に、池島ゆたかと後藤大輔(脚本)による林由美香へのトリビュートなのだ。なにしろ、「みんな死ぬよ。だけど、映画は生き続ける」という台詞を叫ぶ、「映画」という名の生き急いだ少女を演じているのは、かつて池島氏がピンク大賞で「林由美香の後継者」と宣言した日高ゆりあなのだから。それに気づいてしまってからはもう切なくて切なくて。
『中川准教授の淫びな日々』(監督:松岡邦彦) ★★★★★
レイプや自殺絡みの話なのに不思議と陰惨な印象を受けないのは、この「悲劇」を仕掛けているのが平沢里菜子、つまり女性であるからだろう。だからこそ観客は堕ちていく快感に安心して浸れるのである。この「女性上位」の新鮮な印象は続く『不純な制服 悶えた太もも』でも受けた。
『不純な制服 悶えた太もも』(監督:竹洞哲也) ★★★★
20年前ならば反体制的な趣きの強い社会派映画になっていたはずで、10年前ならばイカ臭くて気恥かしい青春映画になっていたはずだが、ここではピンク映画ならではの省略技法(物語のキーポイントとなるはずのヤクザ事務所への襲撃が描かれない。劇中で血が全く流れない)を駆使しながらも、あくまでもカッチリとしたアクション映画/プログラム・ピクチャーとして仕上げられているのが新時代/新世代だなあ、と。冬の日本海ロケを敢行した壮絶な映像も見もの。
『獣になった人妻』(監督:佐藤吏) ★★★
思いもよらない方向に転がっていく群像コメディになるはずが、低予算のピンク映画なので登場人物が少ないのと、濡れ場が物語を停滞させる要因にしかなっていないのであんまり軽快な印象を受けないのはマイナス。最近の邦画の流行を意識したかのような漫画的な演出はハズしているようにしか思えなかった(おっさんが無理して若者言葉を使っている感じというか)。でも、脚本のポテンシャルは高いと思う。最後の最後で葉月蛍を見れたのは嬉しい。
あと、会場で販売されていたPGの最新号に載っている後藤大輔氏の写真はデヴ・ラージにしか見えなかったぞ。