★★★
テイラー・ハンソン(ハンソン)とアダム・シュレシンジャー(ファウンテインズ・オブ・ウェイン)とジェームズ・イハ(元スマッシング・パンプキンズ)とバン・E・カルロス(チープ・トリック)がバンドを組めばつまらないものが出来上がるはずがない!ってのはその通りなんだけど、こうやってアルバムになってみると、大半の曲を書いているアダム・シュレシンジャーの器用貧乏な面が強く出てしまっていて、面子以上の面白さはなかったな。
わざわざバン・E・カルロスを起用していることからも明らかなように、このバンドはチープ・トリックの現代的な再現を狙っているわけだが(というかチープ・トリック自体がまだバリバリの現役なんだけど。最新作の『Rockford』は傑作だったし)、テイラー・ハンソン=ロビン・ザンダーって図式はまあ納得できるとしても、ジェームズ・イハがリック・ニールセンでアダム・シュレシンジャーがトム・ピーターソン足り得ているかというと、それはどう考えても力不足でしょ。もちろん曲自体は良く書けているんだが、サウンドにドライヴ感やスケール感が希薄で、どうにもこじんまりとまとまってしまった印象。
何度も書いているように、アダム・シュレシンジャーのベスト・ワークは映画『プッシーキャッツ』のサウンドトラック(これはパワー・ポップ史に残る大傑作)であって、要するにこの人は外仕事で何らかの制約があった方が逆に自身の能力をうまく発揮できるのだと思う。