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前作『Accelerate』はR.E.M.のロックンロール・バンドとしての本領が発揮された快作ではあったものの、あれほどまでにラウドなエレクトリック・ギターが前面に出た過去作は『Monster』ぐらいなもので、そういう意味で異色作ではあったのだ。本作は『Accelerate』の路線を継承しつつ、彼等らしいアコースティックなサウンドもふんだんに盛り込まれているので、本当に久しぶりにファンが心の底から満足できる傑作に仕上がっていると思う。ソングライティング面において外部ミュージシャンとの共作が2曲もあるという点に特に顕著なように、いつも以上に積極的に外部からの視点を持ち込むことによって全盛期のR.E.M.を再現しようと目論んだ*1、チープ・トリックの『Rockford』を彷彿とさせる素晴らしき拡大再生産である。そういえば、マイケル・スタイプは2005年の武道館公演のMCでチープ・トリックの話をしていたっけ。
それにしても、以前からR.E.M.とジェイムズは近い存在だと思っていたんだが(ニューヨーク・パンク等の音楽的なルーツはもちろんのこと、マイケル・スタイプとティム・ブースのルックスもハゲ同士で似ているし)、ついにジェイムズと同名曲の「Oh My Heart」なんてナンバーが登場するとは。アルバムにはジェイムズの『Stutter』のプロデューサーでもあったレニー・ケイもギタリストとして参加しているし、ここまでくると本人達も意識してやっているとしか思えないぞ。全12曲41分。