映画『Starter For 10』(監督:トム・ヴォーン)観賞。★★★★。
『ベガスの恋に勝つルール』でハリウッドに進出したトム・ヴォーンが、80年代の英国を舞台にクイズオタクの大学生(ジェームズ・マカヴォイ)の青春を描いた2006年作品。いや、これ、近年では稀に見るほど忠実にジョン・ヒューズ・マナーに則った学園映画なのよ。これに匹敵するのは『Charlie Bartlett』ぐらいってなもんだ。
『ベガスの恋に勝つルール』でもミーカやイアン・デューリー(!)をフィーチャーして英国人魂を見せていたトム・ヴォーンだが、本作では「Boys Don't Cry」「In Between Days」「Six Different Ways」「Pictures of You」「Love Song」と5曲もフィーチャーされているキュアーを筆頭に、80年代英国ロックをかけまくり。こうした80年代ニュー・ウェイヴ勢をフィーチャーした選曲がまたジョン・ヒューズ的なんだな。
物語の方も『恋しくて』風な三角関係が展開されて、ヒロインにはモリー・リングウォルド似のレベッカ・ホールを迎えるという念の入れよう(ってことは『ベガスの恋に勝つルール』におけるキャメロン・ディアスとアシュトン・カッチャーの追っかけっこは、もしかしたら『フェリスはある朝突然に』でのフェリスの帰宅シーンへのオマージュなのかもしれない)。本作が弱いのは、主人公が自身の失態を挽回しない(できない)という英国映画らしい結末なので、最後の最後でジョン・ヒューズ・マナーとの噛み合わせ悪くなっているところなんだが、まあ些細な欠点だ。トム・ヴォーンには今後も要注目。
Starter for Ten Movie Trailer